江原啓之『人はなぜ生まれいかに生きるのか』

私たちがこの時代、現代に生まれて生きているということは、決して偶然ではなく、大変重要な意味を持っているのです。
私たちはどこからやって来たのでしょう? 答えは霊界にあります。
私たちは霊界からやって来たのです。
この現世を修行の場として選んだのです。私たちはみな、自分の魂を見詰め、磨き直すという人生の大きな目的を持って生まれてきます。そして、私たちがこの時代に生まれてきたことは、私たちがこの時代と深い関わりを持っていることなのです。
私たちはこの世に再生(霊界へ帰った霊魂は、未浄化の部分を解消するために再び地上に生を受けようと決断し、生まれ変わる。これを再生という)されてきた魂です。霊界から地上に再生されてくるために、私たちは強い決心をしたのです。
私たちは霊界から魂を分けて、自らの目的を果たすため一番ふさわしい親を選び、国を選び、時代を選んで生まれてきました。
経済的物質的には他に類を見ないほどの繁栄を誇る時代。しかし、現代は同時に、精神や環境さえ蝕む危機の時代でもあります。
地球崩壊の危機さえある現代。
私たちはこの現代を、霊の修行の場として選んで生まれてきました。私たちは地球を変えようという志しを持って生まれてきたのです。
この強い意志によって地上に再生した魂が私たちなのです。
この世というのは、霊魂にとって厳しい修行の場にほかありません。豊かな国、貧しい国、良い人、悪い人、善悪いろいろなこの世界で自らを鍛え直す、その目的を果たそうという強い決意があって、あなたは今、ここに在るのです。
ですから私たちは、この人生を無為なものにすることなく、自分の魂の目的を果たさなくてはなりません。
魂の目的とは何でしょう?
ここに百人の人がいれば百の目的が、千人の人がいれば千の目的があるのです。
たとえば、以前の人生で人を愛することなく人生を終わった人は、この今の人生で人を愛する喜びと苦しみを学ぶのです。もし人を傷つけ、苦しめてきた人ならば、この今の人生では傷つけられ苦しむということを学ぶのです。
そして、霊として、苦しみ試行錯誤しながら心の正しい在り方を学びます。私たちは、一人ひとりの目的を達成することで、真の幸福とは何かを学ぶのです。
そうです。人間が肉体だけの存在ではなく霊である以上、真の幸福は物質的なところには決して存在せず、心(たましい)の原理「愛=他利=奉仕」にのみ存在します。
人々がみな幸福になるように、世界が本当によくなるように、すべての人が願って生きられるとき、初めてあなたの真実の幸福がやってくるのです。
なぜならば、世界のすべての人々は霊によって結ばれた兄弟姉妹であり、一体のものだからなのです。
人はこれを知ることによって、はじめて他人に献身し奉仕できるのです。そして他に与えたと同じだけのものが、必ずあなたに返ってくる。これが自分の幸福につながり、進歩につながるのです。
これは、あなたの魂の最終的な目標であり、心霊哲学で言う「霊性進化」ということです。今、この人生を投げ出さず精一杯生きる。これが私たちが果たすべき人生の使命なのです。


江原啓之『人はなぜ生まれいかに生きるのか』ハート出版、1995年、82-84頁

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