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「円」の象徴的考察

 最近、知り合いの女性が出産されて、「産後は自分の中の女性性が溢れて、物事をジャッジする感覚がなくなる一方で、情緒不安定になりやすい」と語っていたのが印象に残っている。
 ここでいう「女性性」というのは、女性ホルモンのことと考えて良いと思うのだけれど、そうすると、物事の善悪を判断・評価・非難したりするのは「男性性(男性ホルモン)」の働きなんだろうなと思う。
 そこで、ふと気づいた。なるほど、女性原理だけならば物事は混沌として形を成さない。一方、男性原理だけならば、ごつごつして角ばった形になってしまう。女性原理と男性原理がちょうど調和した形が「円」だ。どちらか一方だけでは、「円」にはならないのだ。
 古来、「対立物の一致」としての両性具有を説く神秘思想や、内なる「女性性(アニマ)」と「男性性(アニムス)」の調和を説く心理学が目指す理想のシンボルこそが、この「円」に他ならない。陰陽思想の対極印も、禅画の円相もまた、この宇宙の根源にまでつながる円満な調和の境地を描き出したものなのではないかしらん?

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