「評伝 デヴィッド・ボウイ」

RIP…デヴィッド・ボウイ。1月10日(2016年、69歳)は彼の命日であった。

昔、好きだったバウハウスが「ジギー・スターダスト」をカバーしてたこともあって、ボウイを聴くようになったから、その前の、派手なメイクのグラム・ロック時代のボウイは知らなかった。

が、「ジギー・スターダスト」の他、「ハンキー・ドリー」や「アラジン・セイン」「ダイヤモンドの犬」「ロウ」「ヒーローズ」「スケアリー・モンスターズ」、そして、「レッツ・ダンス」まで、折に触れて、レコードに針を落としてた。

もうすぐボウイが死んで10年が経つのかぁ。

この本を読んで、初めてラストアルバム「★」をYouTubeで聴いた。闘病中に創った作品だが、ボウイらしい美しいメロディも健在だけど、どこか内省的で哀しさが漂ってる感じがした。

ボウイの美しさは人間のソレではなく、明らかに異星人(火星)のモノだった。そんなボウイに老いは決して似合わない。だから、ギリギリ69歳で“夭折”して本当に良かった…と思う。

ボウイの誕生からデビュー、下積み時代、バンド時代、ソロ活動、初の世界ツアー、映画への出演、低迷期、プライベートの問題、そして、来日と京都への偏愛まで、とてもわかりやすく書いてあった。

ボウイが時折見せる素顔のエピソードは面白い。彼は、来日する前から、禅など、オリエンタル文化に多大な興味を持っていたけど、なんでも一回興味を示すとトコトン追いかけるが、また冷めるのも早くて、周りの人達を困惑させてたという話は、まさにスーパースターらしい。

三島由紀夫にも興味が深く(絵を描いてる)、小説「豊饒の海」を題材にした曲も作ってる。

義兄が精神を病んで、後に自殺、ボウイはかなり落ち込んでいたらしい。

ボウイは、歌詞を重要視するロック・アーティストであったが、それだけにダイレクトに伝わらないのはもどかしいけど、常に、社会との距離を考えていたと思う。ロックは社会にどういう影響を与えるのか。革命がまだ意味を持っていた時代に、ロックのパワーとは何かを提示して見せた。それがあってのベルリンの壁崩壊に繋がるライブもあったのだ。

もう、こういうタイプの、社会にセンセーショナルを与えるロック・アーティストの出現は難しいかもしれない。小さいクラブで演奏するグランジ・バンドからアンディ・ウォーホールなどの先鋭的なアーティスト、著名な映画監督や俳優まで、幅広く交流を持ったボウイのような。

しかし、彼の曲は生きている。

「自分の弱点を見つけて克服できた人だけが、自分をリスペクトできる人になれるんだ」


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。