【古典邦画】「折鶴お千」

溝口健二監督の、1935(昭和10)年のサイレント映画「折鶴お千」。YouTubeにて。

ハッキリとした活弁入りでわかりやすかったけど。

原作は泉鏡花で、主演のお千は山田五十鈴。溝口監督は、主演のヒロインを躊躇なく徹底的にイジメ抜くねぇ。何かサディズム的な性的嗜好があるのかしら。

芸者であるお千は、悪徳商人の男に食い物にされていたが、ある日、自殺しようとしてた貧乏医学生の宗吉と出会い、弟みたいに慕い、彼の面倒を見て、医学の勉強を続けることを支える。
しかし、マトモな商売ではお金が底をついて、お千は窃盗と買春に手を出すことに。
程なくして彼女は逮捕されて、警察に引かれて行く中、宗吉に折鶴を渡す…。

医者になった宗吉の回想という形で物語は進む。

ラスト、逮捕・釈放後、お千は、さらに度重なる不幸に見舞われて、ついには発狂、立派な医者となった宗吉のことでさえ、わからなくなっている。

自分の身を犠牲にしてでも、この人なら、と決めた男のために、どんなことでもやって支えていく女の一生。一途な純愛といえばそうかもしれないが、哀れ過ぎる結末を迎え、自分というアイデンティティを失ってしまった、もしくは他人に依存することでアイデンティティを確認していたといえるかもしれない。
山田五十鈴はカワイイのに。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。