【古典映画】「祇園の姉妹」

溝口健二監督の、1936(昭和11)年の古典モノクロ映画「祇園の姉妹」。Amazonプライムにて。

京都の祇園で働く芸妓の姉妹、古風な義理人情に生きる姉の“梅吉”と、打算的なサバサバした妹の“おもちゃ”。妹を演じたのは、まだ若い山田五十鈴。

義理堅く旦那さんに尽くす姉に対して、金を得ることだけを目的に旦那さんを手玉に取って渡り歩く妹。

対照的な姉妹だけど、結局、姉は細君のところへ帰った旦那さんに捨てられて、妹は裏切った旦那さんにタクシーから突き落とされて大ケガ。

溝口監督お得意の、男の勝手故に犠牲になる女たちの悲劇。

姉は、昔ながらの男にとって都合の良い女性、対して、妹は、男に頼らずに自分の力で生きて行こうとする。しかし、2人とも男によって身の破滅を招く。

冒頭で、妹の山田五十鈴が、男がいるのに薄いシュミーズ姿で堂々と登場するのも、強い現代的な女性を演出してるのか。

溝口監督は、この95分程の短い映画で、当時の女性が置かれた理不尽な現実を表現したのかも。

考えれば、妹に復讐する男は、ハンチングを被ってて官憲みたい。時代を考えれば、治安維持法下の状況を暗示させるものがあると思う。現代的で進歩的な考え、今でいうフェミニズムの考えを持つ(主義者の)妹を、タクシーで攫って突き落として大ケガさせる。大杉栄虐殺事件も連想させる。

当時の祇園の風景はイイが、男も女も京都弁が強過ぎて、慣れない者にはちょっと…って感じだ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。