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「ブラジルから来た少年」

昔、観た気がするけど思い出せない「ブラジルから来た少年(The Boys from Brazil)」(米・78年、フランクリン・J・シャフナー監督)。

スレイヤーの「エンジェル・オブ・デス」のフレーズでも出てくる、“死の天使”と言われた医師でナチ親衛隊のヨーゼフ・メンゲレと、それを追うユダヤ人ナチ・ハンターの葛藤と攻防を描く。

ナチ・ハンターのリーベルマンは、アイヒマン他多くの逃亡ナチ戦犯を捕まえたサイモン・ヴィーゼンタールがモデルだろう。

メンゲレは「オーメン」のグレゴリー・ペックで、大げさな身振り手振りで、尊大で、いかにも独裁者みたいに描かれてコミカルな感じがする。実際のメンゲレは、死ぬまでモサドにビクビク怯えて隠れて暮らし、かなり精神衰弱してたという。

メンゲレがいたブラジルの村で次々と“アーリア人的”な双子が生まれたという都市伝説?(収容所で人体実験をやってた)を題材にしたもので、ヒトラー総統の、取っておいた遺伝子からクローン人間を作って世界にバラまき、第4帝国の復興を画策するメンゲレだが、それだけにトンデモ的な内容になってる。

それにしてもクローンの少年の抜けたような間抜け顔はいただけないね。

最後は新世代のヒトラーは確実に育ってるという終わり方だけど、人間の根源的な欲や狂気、残虐性を祭り事で示したヒトラーとナチスは、単なる歴史で終わることはなく、人類の記憶に残って、これからも度々人間社会に顔を出すに違いないと思う。

戦い終わり、入院したリーベルマンはナチス・ハンターの若者にクローン少年を消すために名簿を渡すように要求されるが、「罪もない少年を殺すなど、ナチスと同じだ」と返すところが肝か。

ヒトラーも党旗も少ししか出てこないし、ナチ式敬礼も中途半端だし、なによりも老人たちの闘いが中心だけど、もしかしたら当時としては忖度したのかな。

サスペンスとして題材も面白いけど、緊張感が感じられずにB級ムービーで終わってる。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。