「カンゾー先生」

「楢山節考」や「復讐するは我にあり」「うなぎ」の今村昌平監督の傑作「カンゾー先生」(98年)を観た。無頼派の作家、坂口安吾の短編「肝臓先生」をベースとした喜劇?映画だ。

敗戦が近い海辺の田舎町を舞台に、患者全てを肝臓炎と診断するけど慕われてる中年の医者と淫売をしてた田舎娘と、彼らを取り巻く仲間たちの日常を描く。

なんといっても淫売をしてた田舎娘、若い麻生久美子の眩しい美しさ、透明感溢れる純粋さ、力強い逞しさが際立って素晴らしい。文字も読めないちょっと頭が弱い設定だが、看護師兼世話人としてテキパキと仕事をこなし、カンゾー先生を支えるが、「先生が好きじゃ!」とカラダで迫ったりで、「やることが激しいオナゴじゃ」と先生が困惑するくらいストレートに感情を表現する。

最後に出てくる海水に濡れた褐色の肌のヌードはもう例えようのない美しさでオジさんはマジでやられた!これ、若いピーナの、シットリとしてるが水を弾くようなピチピチスキンと一緒ぢゃないか!クーッ!\(//∇//)\

麻生久美子演じるソノ子は確かに知識はないけど、実は頭が良いと思う。先生のためだったらと憲兵を平気で罵る姿なんていじらしくてキュンキュンだ。

主人公の、柄本明のドクターは真面目一辺倒の無骨な感じのする変人みたいだけど、我が道を往くで実はこういうタイプが多分一番女の子にモテるんだよねー。

他にもアル中の住職(唐十郎)、モルヒネ中毒の医師(世良公則)、アソコの写真を撮る変態将校(田口トモロヲ)、ソノ子に振られて狂う青年などなど、コメディタッチだけど、戦時下における狂った人間を描写している。それだけに軍人や憲兵がアホ、バカらしくて無様に滑稽だ。多分、反戦の意図もあるのだろう。

最後、海の上で原爆のキノコ雲を見てしまい、その雲が肝臓のように見えてしまうという、ちょっとチープなオチじゃないっすか、今村監督(笑)。

先生の家訓「開業医は足だ。片足折れなば片足にて走らん。両足折れなば手にて走らん。疲れても走れ。寝ても走れ。走りに走りて生涯を終らん」は昭和の町医者のイメージが表れててイイね。

それにしても、こういう若い女の子が際立つ映画ってやっぱり季節は夏が多いね。当然か。小気味好い面白い作品だった。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。