【古典映画】「姿三四郎」

黒澤明監督の第1作目、1943年(戦時下)の「姿三四郎」だ。

同名小説(富田常雄)の初の映画化。

当時、大ヒットしたらしいが(そういえば親父も熱中して観たと言ってた)、主人公の苦悩や初恋など、人間的な成長も盛り込みつつ、クロサワさんらしく、躍動感のある映像を創ってる。

ただ、数回、ライバルらとの決闘のシーンがあるが、もっと尺を取って、映画なんだから飛んだり跳ねたりの見せ場を入れても良かったのでは。三四郎の技があっという間に決まってしまうので、ちょっと物足りなかったね。

三四郎は厳しい稽古を受けて、門下で最強の柔道家に育っていくが、稽古のシーンもまるでない。師匠に、デクノボウの如く投げられたというから、稽古で汗と血を流す場面を入れても良かったのに。戦時下の検閲でムリだったのだろうか。

ススキの原で強風が吹く中、決闘するのは、クロサワさんだからリアルにこだわって、周りは大変だったろうなぁ。しかし、柔道着が薄くてボロボロだね。

町でも暴れん坊だった三四郎を、師匠が「お前は人の道というものをわかってない」と一喝。反発した三四郎は、庭の池に飛び込み「死にます!」と叫ぶ。凍える寒さの中、意地を張って朝まで水に浸かっていたが、池の中から見た満月と池の蓮の花の美しさを目の当たりにした際、柔道家として本当の強さとは何かを悟る。

最後に、三四郎は、多流派の師匠と試合をすることになって、その娘が、己を捨て切って、父のために社に参る美しい姿を見てしまう。三四郎は、その美しさに勝つにはどうしたらいいのか、と、また自問自答して苦悩する。

寺の和尚は彼に「お前も無心になれ!お前の美しかった時を思い出せ!」と諭す。池の水に浸かった自分を思い出して彼の心は決まる…。

こうした日本的な自然の美と心を結び付けて意味を持たせる演出もクロサワさんらしいかな?

俺は身体が小さかったこともあって、柔道よりも拳法や空手(極真)だったなぁ。「柔道一直線」は一応、見たけど。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。