【映画】「反撥」

ロマン・ポランスキー監督の初期2作目「反撥(Repulsion)」(1965・英)。

モノクロ作品。あのカトリーヌ・ドヌーヴが主役のサイコ・スリラーというよりも、また統失がもたらす悲劇みたい…。

映画生誕100年の時に、映画300本を観まくったのだが、ポランスキーとルイス・ブニュエル監督は、ビデオソフトで出てた作品は全部観た。だから多分コレも観たと思うけど。

美容院で働くキャロル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は姉ヘレンとアパート暮らし。
姉ヘレンは妻子ある男と付き合ったり自由奔放に楽しんでいるが、キャロルは姉の様子を見てて、男に対して恐怖心を抱いていた。
彼女は見知らぬ男に暴行される夢を見るようになり、元々、神経質で潔癖性なこともあって精神的に壊れていく。
姉が男と旅行に出てから引きこもるようになり、妄想が激しくなって、部屋に来たキャロルに言い寄る男やアパートの大家など、隙をついて、ついに殺してしまう…。

異性恐怖症の症例でも見てる感じだけど、元々、キレイなカトリーヌ・ドヌーヴが表情でも、徐々に狂気に支配されていく様子がよくわかる。

仕事も無断で休んで引きこもるようになってから、つまり社会と断絶してから、頻繁に男に襲われる妄想を抱く。極端な男性恐怖だけど、多分、コレは男性への性の欲望が裏腹に噴出してしまったのだと思う。男と関係を持った、処女ではない汚れた自分を認められないあまりに妄想に支配されて、近づいて来た男を殺してしまったのだ。女性は本能としても、社会においても、潔癖性を強いられてるような気がするけど、それを表しているのかもしれない。

また言い寄る男はナンパ師みたいだし、大家はキャロルと2人っきりになるとキスさせてと迫って来るようなクズ野郎だし。

そのキャロルの恐怖と狂気を、ポランスキーなりの追い詰められて爆発するみたいな流れで表現していると思う。

同じカトリーヌ・ドヌーヴでもブニュエルの「昼顔」とは違い、妄想と狂気に変貌していく鬼気迫る演技は流石だ。姉が調理を始めた皿の上のウサギがだんだんと腐っていく様をキャロルの変貌とともに演出してるなんて、ポランスキー独特の世界だ。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。