「ネットと愛国」

一時期、話題になったノンフィクション。今頃読了。
安田浩一氏による読みやすく素晴らしいレポートだと思うが、読み進めると、お上には何も言わずに、攻撃しやすいものを見つけ、屁理屈を捏ねて憂さ晴らしをするネトウヨ・クソ小市民ぶりに、中華の血が混じってる俺でも感情的に激昂するくらいに、気分が悪くなるね。

鬱憤ばらしのレイシスト集団、ザイトクカイの始まりから活動・内実、彼らの主張する在日特権、反在日ネットワーク、離反する右翼・民族派、会員の素顔等に迫ったものだ。

彼らは街頭で存在をアピールするが、その主張を世間にわかってもらおうとしてるのではない。集団となると攻撃対象を見つけて、汚い罵詈雑言を投げつけるだけ。単なる「憎悪」の発散なのだ。

トップが他に移ったことで、もうピークは過ぎたと思うけど、そんな連中が蔓延るってことは、それだけこの国は危機的状況だということかもしれないね。少子化が一番の国の危機だと思うけど、子供を持つ会員は少ないし。

概念で、ありもしない在日特権への勝手な怒りや、ただ外国人がいるのは怖いというイメージ、日常の不平不満を晴らす矛先の発見などから、デマが多く、小さなことをそれが全てだとするようなネットの情報だけで、自分で調べるなんてこともせずに、安易に会員となってしまう。事実がわかったというけど、わかったんじゃなく、考えなくなった、馬鹿になったということだ。

まず彼らの存在基盤の全てはネットにあるなんて恐ろしいね。疑似家族のようだが、ちょっとでも仲違いすると、急に冷たく攻撃先にされる。ネットで集まった連中だから、それだけ繋がりも薄いのかもしれない。イデオロギー絶対のブサヨも一緒だけど。

彼らはまだ表に出るだけいいかもしれない。もっと怖いのは決して表には出ないが、彼らを裏で支える、寄付をする見えない小市民だろう。

目立つわけでもない極、極、普通の人たちの心の中に潜むそれぞれの憎悪がネットを介して一緒になりザイトクカイを作り上げた。よく言うように差別の自覚など全くなく、それどころか、自分を陰の悪と戦う「正義」として正当化できるから楽で気持ちが良いのだ。

エピローグで安田氏が書いてる。ザイトクカイとは何者か?「あなたの隣人ですよ」…。ああ、恐ろしや。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。