【古典邦画】「古都」

文豪・川端康成の長編小説が原作の、1963(昭和38)年の作品「古都」。中村登監督。

岩下志麻が一人二役の主演だ。川端作品は昔、新潮文庫でほとんど読んだが、すっかり忘れとるなぁ。

全編に渡って、誰もがイメージできる、教科書に載るような日本(京)の美が詰まっとるねぇ。

季節が巡る侘び寂びの世界で、静かに火を灯す人の慕情…赤子の頃に生き別れになった双子の姉妹の物語。

老舗呉服屋の一人娘として育った“捨て子”の千重子が、北山杉の村で見かけた、自分と瓜二つの娘の苗子と、祇園祭の夜に偶然出会う。お互いに心を通わせて引かれながらも、結局、一緒に暮らすことは出来ずに別れてしまう双子の姉妹の悲しくも哀れな姿が描かれる。

けど、ちょっと性急過ぎるね。双子のそれぞれの恋も結果も中途半端だし、日本の美を強調するあまり、肝心の、双子のストーリーが中途半端で終わってる気がする。

岩下志麻が演じる一人二役の双子の姉妹が、上手く交差するカメラワークは見事なんだから、もっと深みを持たせたら良かったのに。

山で夕立があって、抱き合ってお互いを確認したり、呉服屋を訪れた苗子と千重子が抱き合って暖め合って寝たり、レズビアンに近いものを想像した。

しかし、京言葉はキレイだけど、旦那衆の芸妓遊びは、けっこうスケベでエゲツないものやなぁ。

芸術家は“夢見る人”ねぇ、なるほどです。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。