【古典邦画】「虞美人草」

溝口健二監督の、1935(昭和10)年の戦前の作品「虞美人草(グビジンソウ)」。YouTubeにて。

原作は、有名な夏目漱石の長編小説だ。フィルムの状態が悪くて、音声も聞き取れないところが多々あった。

プライドの高いイケすかない女(藤尾)に翻弄される愚かな野郎どもの話だ。当時は高慢ちきな女だったのかもしれんが、男に左右されない自立した考えを持ってる女性といえると思う。

漱石ちゃんの小説では、最後、藤尾は自殺したと思うけど、映画では独りになって終わりだった。フィルムが欠落してるのか、最後の方は端折った感じになってる。

藤尾が、「息の詰まるような激しい恋がしたい」と懐中時計を婚約指輪(?)代わりに男に手渡して惑わしたり、将来のためにと藤尾と対照的な恩師の娘との婚約解消を申し入れたり、基本、2組の男女を巡るドロドロの愛憎劇なのだが、サラッとしてて、そんなに陰湿な感じはしないのは、溝口監督だからか。

女よりも男が苦悩するのも溝口監督の映画では珍しいね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。