【古典洋画】「狂へる悪魔」

1920年の、アメリカ古典無声怪奇映画「狂へる悪魔(Dr.Jekyll and Mr.Hyde)」(ジョン・S・ロバートソン監督)。Amazonプライムにて。

原作は「ジキルとハイド」で、前に観た「悪魔スヴェンガリ」に出た怪優ジョン・バリモアのデビュー作だ。

慈善家で真面目な医者のジキルは、友人に、自分の欲望のままに悪いこともやってみないかとからかわれる。
日頃、人間には善と悪が同居してることを研究していたジキルは、これをキッカケに、自分の悪の面を全面的に出すことができる薬の開発に成功する。
そして、ついにジキルはそれを服用して、ハイドという悪魔に変身する。
かくして、ジキルとハイドの二重生活が始まるが、徐々にハイドの邪悪な面が大半を占めるようになって、本来のジキルは人格が分裂、破滅することに…。

ジキルが薬を飲んで、ハイドに変わっていくシーンは、モノクロ古典映画とはいえ、とても不気味に演出されている。苦悶しつつ、思いっきり眼をむいて、表情を歪めて、背は曲がり、髪はボサボサになって、頭はトンガって、手は老人のようになっていく。さすがは表情豊かなジョン・バリモアである。

やはり、一旦、その快感を知ると、悪というか、欲望に抗うことが難しくなってくるという人間のサガ、破滅という結果は見えているけれども、悪の誘惑を求めて薬を飲んでしまう人間の行為…。

悪への魅力は尽きない。人間はもともと悪いことが大好きなのだ。善行も他人が認めてくれないと魅力はないものだ。

だからこそ「ジキルとハイド」は、この映画を最初に、何度も映画化されて来たのだね。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。