【映画】「陸軍残虐物語」

1963年の日本映画「陸軍残虐物語」。

「人間の証明」「野生の証明」の佐藤純彌監督のデビュー作。三國連太郎が主演。

大日本帝国陸軍の内務班に、新たに配属された犬丸二等兵(三國連太郎)が、上官への絶対服従を強いられる中、毎日、理不尽なイジメ、シゴキ、リンチ、かわいがり…を受けて、さらに面会に来た妻を上官に暴行され、ついにブチ切れて、その上官を殺して逃げるという、まさに残虐(残酷)な話だ。

映画だから“盛り”もあると思うが、三國はじめ出演者の多くに軍隊経験があり、その実体験をもとにシナリオを作ったという。日本初の反戦映画といわれてるらしい。

三國に暴力を振るう上官が「水戸黄門」の西村晃だけど、いや〜彼のクズっぷりが凄まじい。

西村演じる亀岡軍曹も、さらに上の上官に押さえつけられるので、その不満やストレスを新人の二等兵に暴力でぶつけるのだ。亀岡軍曹は入隊中に妻に浮気されてるし。

そして、なんとか亀岡軍曹に取り入ろうと物資の横流しや賄賂を渡す兵もいるし、亀岡軍曹の尻馬に乗って、さらに犬丸二等兵(三國)を責める兵もいるし。犬丸二等兵は、純粋で正直、でも、ちょっとドン臭いから、さらに皆にからかわれるのだ。

こんな、全く意味のない、理不尽なシゴキを受けてれば、合理的な米英軍に勝てるわけがないね。ただ天皇の軍隊、皇軍として、徹底的に個性や人間性を喪失させて、機械とするためのものだ。それもすぐに死んでくれるマシーンだ。

こういう軍の体質は、現代にも僅かながらも残ってると思う。学校や会社、社会でも。だから、いつまでたってもイジメがなくならないのだ。

犬丸二等兵は、なくされた銃の部品を探すために、同僚と便所の糞溜めに潜り込むことになったり、妻を暴行した軍曹を殺して、妻に会いたいがために密かに実家に帰ったら、妻は首を吊ってぶら下がってて、絶望した彼は銃剣で喉を突いて死ぬなんて…後味の悪過ぎる衝撃的な映画だった。

往復ビンタなど、リンチのシーンは、リアルな迫力を出すために本当に殴ってるのがわかる。三國など顔が腫れて、度々、撮影がストップしたという。三國も西村も、実際に軍隊でリンチを受けたらしい。

やっぱり、ドン臭くてヌボ〜ッとした身体の大きい三國と、狂気の鬼軍曹の西村の演技が際立っているね。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。