【映画】「袋小路」

「反撥」に続く、ロマン・ポランスキー監督の古典第3作目「袋小路(Cul-de-sac)」(1966・英)。

前作と比べると、よりポランスキーらしさが出た映画といえるかもしれない。

孤島の隔離されたような古城に住みことになった中年男ジョージと若妻テレサ(カトリーヌ・ドヌーヴのお姉さん!)の新婚夫婦。
そこに犯罪を犯して逃亡中らしい2人の男が故障した車で辿り着く。
一人の大男のリチャードは、ケガをした相棒のアルビーを車内に残し、古城に侵入する。

ジョージとテレサの新婚夫婦の関係が変で、ジョージは気弱で妻に無理矢理女装させられからかわれるようなスキンヘッドの小男で、テレサは気が強くて自由奔放で、そんな夫に不満を持っており、隣の島に住む若者と浮気をしている。
2人は10ヶ月前に結婚したばかり。
そこに突然の侵入者がやって来る。
大男のリチャードは2人を拳銃で脅して「仲間が迎えに来るまでここにいる」という。
気弱で何もできずにリチャードの言いなりになってる夫ジョージにテレサは苛立ってる。
アルビーはケガで死んでしまうが、テレサはアルビーを埋める穴掘りを手伝い酒を振る舞ったりする。
そこに、夫ジョージの親戚連中が結婚のお祝いにやって来る。テレサはリチャードを使用人にしてこき使い、イケメンの男に色目を使ったりする。
親戚連中は図々しく振る舞い、子供はイタズラばかりしてる。
ついに夫ジョージがブチ切れて、親戚連中を追い出す。
再び3人だけになったが、テレサが、眠るリチャードにイタズラをしたことで、リチャードは怒ってテレサに暴力を振るう。
夫ジョージはリチャードの上着からこっそりと銃を抜き取ると、テレサにそそのかされてリチャードを撃つ…。

夫ジョージはそれがキッカケになって精神的に変調をきたしてしまい、テレサの荷物を出して出て行くように意思表示する。
テレサは古城を去る。
夫ジョージは部屋をめちゃくちゃにして暴れ回ると海へ出て行く。
そして、妻の名前を呼びながら泣き崩れる…。

夫リチャードの、気が小さいのに、妻に言われて追い詰められて、窮鼠猫を噛むで取り返しのつかないことをやってしまう様は、まさにポランスキーの映画によくある例だ。

都会とはかけ離れた孤島で、侵入して来た人間によって、通常の関係が崩れてしまい、それぞれ孤独となり、閉塞感が生まれて、ついに狂気が顔を出す。

ポランスキー独特の、多分、ゲットー収容体験に起因する世界観がダイレクトに現れた映像だと思う。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。