見出し画像

「戦争のはらわた」

バイオレンス・アクションといえばサム・ペキンパー監督の「戦争のはらわた(Cross of Iron)」(77年)。

前のカミさんを初めてここ実家に連れて来た時、近所のレンタル・ビデオ屋で借りたのがこの映画だった…は良いとして(笑)、久々の思い出の戦争映画だなぁ。もう第二次大戦は遠い歴史になっちゃったし、そんなに好きじゃないけど西部劇と同様、遠のいてたね。

ペキンパー監督らしく、戦争のバイオレンス描写は凄まじい。常にドオォン、ドオォンと爆破音が鳴り響き、地面が揺れる中、顔中、土で薄汚れた男臭過ぎるナチス側軍人の狂気をバカバカしいまでにシツコク描く。

鉄十字勲章にこだわりウソをつく貴族軍人、部下の信任が厚いがフラッシュバックで幻覚を見てしまう隊長、仲間を殺してしまうホモの少尉、敵の女性兵士にイチモツを咥えさせるが噛みちぎられてしまう兵士…これでもかというくらいの狂った人間の描写が続く。

実際の戦争の現場もこうなんだろうな。限度を超えた異常さや、いつ死ぬやもしれぬ恐怖心が伝わってきて観る者を飽きさせない。ここは出口のない地獄だ。

ドイツの軍人だけど、ナチもヒトラーも大嫌いで、いつも上官に逆らうシュタイナー隊長が英雄みたいになってて、ありがちだけど、ペキンパー監督らしい表現の男のヒロイズムだ。

関係ないけど、「オーメン」に出てた首チョンパのカメラマンも出てるんだね。

「戦争は真の文化人の人生の最高の表現だ」
言い得て妙。

最後に出てくるブレヒトの言葉が戦争に臨む人類の性を表してるようだ。
「彼の敗北を喜ぶなかれ
世界がその畜生に立ち向かい阻んでも
そいつを産んだメス犬が又発情する」

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。