【古典映画】「非常線の女」

おっと、まだ観てない小津安二郎監督の映画があった。YouTubeにて。

1933(昭和8)年公開の無声映画「非常線の女」だ。

ボニー&クライドのような(あんなに破滅的ではないが…)和製のギャング映画で、小津安さん、何かで影響を受けたんじゃ。無常感という小津安らしさを感じない。

ギャングの男を岡譲ニ、その情婦を田中絹代が演じている。田中絹代は、若くて少女のようでギャングの女って感じじゃないが、普段はオフィスでタイピストをするOLであるが、夜は「アタイは…」と一転するという役どころ。

簡単にいうと、与太者とズベ公のラブストーリーである。

ラストに、舎弟のために犯罪を犯して逃げる2人だが、「一回、捕まって出直そうよ」とズベ公が逃げる与太者を止めて、さらに逃げようとする彼の脚を、ズベ公が銃で撃ってしまって警察(警官の1人が笠智衆)に捕まるという流れ。

ズベ公が与太者を撃って殺して、自らも銃で自殺するとばかり思ってたよ。破滅的ではなく希望を残す最後だった。

一時期、与太者が、舎弟の姉(水久保澄子)の、弟を助ける純粋さに心を打たれて惚れてしまう気持ちはわからないでもないが、どうもフィルム・ノワールのギャング映画にしては甘くて緊張感が足りないね。

無声映画だから、最低限のト書きで説明することになるが、役者の演技と観る者の想像力で、流れを掴むことになるね。

しかし、BGMが合わねえ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。