【邦画】「新幹線大爆破」

1975年の邦画「新幹線大爆破(The Bullet Train, Super Express 109)」(佐藤純彌監督)。

古い映画だから、今観るとチャチい部分も確かにあるけど、新幹線(初期のひかり号)を題材とした和製パニック映画として、けっこうハラハラドキドキで臨場感があって目が離せない面白さだった。

公開当時はかなり話題になったらしいが、海外でも評価が高く、キアヌ・リーブス、サンドラ・ブロックの「スピード」(ヤン・デ・ポン監督)の元ネタとなったという。

ちょい役でも昭和の名優が揃ってるが、主演は高倉健で、工場を経営してたが真面目過ぎるが故に失敗、妻にも離縁されて子供も取られて、知り合った、過激派の内ゲバで逃げて来た男と、沖縄から上京してきた青年と3人で、新幹線に爆弾を仕掛け、誰も殺さず殺されずに巨額の身代金を得て海外に行こうと完全犯罪を目論む話だ。

その爆弾が、新幹線が速度80㌔を下回るとドッカ〜ンとなるもので、(当時の)国鉄と警察を相手に、爆弾の解除方法と身代金を巡って攻防を繰り広げる。

人情派の健さんにピッタリのキャラで、凶悪犯人とはいえ同情してしまう。健さんらしい存在感がある。ラストはそういう面が裏目に出て警察に銃で撃たれてしまうが。

さすがにこんな展開はねえだろ、って思うことも多々あるけど、なんとか爆破を食い止めようと奔走する国鉄と、わずかな手掛かりから犯人グループを追い詰めていく警察にそのバックの国と、パニックに陥ってしまう新幹線の乗客と、概ね3つの柱で構成されており、犯人3人のそれぞれの背景までちゃんと描いていて、単なるパニック映画ではなく、一流のドラマとなっていると思う。70年代の日本の高度経済成長の歪みも盛り込んでいるし。

国鉄の運転指令長役が宇津井健で、電話で運転士の千葉真一にいろいろと指示するのだが、“赤いシリーズ”で見せた、汗かいて丁寧に一語一語語りかけて、観るものを感動させる、あの宇津井節が健在(笑)。

2時間超えの長いドラマだけど、全然退屈せずにチョー面白かった。傑作といえるね。断然「スピード」よりも上だ。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。