「ワイルド・パーティー」

伝説の巨乳信仰の巨匠、ラス・メイヤー監督の「ワイルド・パーティー(Beyond the Valley of the Dolls)」(1970年)が観れたなんて。

ラス・メイヤーは、基本、一貫して巨乳(というか爆乳)を撮り続けたアメリカのキング・オブ・エロ映画(ポルノ)監督なのだが、監督・製作から撮影、編集、何から何まで全てを自分でこなして、独自の世界を作り上げていった。

カルト映画化した作品も多い。「Faster, Pussycat! Kill! Kill!」なんて「死ぬまでに観るべき映画1001選」にも入ってた。

俺も、未見の作品が多いが、モンド・ミュージックと化したCDは何枚か持ってた。

さて、この映画は、巨乳信仰は薄れてるけど、孤高のラス・メイヤーの特色がこれでもかと詰め込まれた成人指定の“おバカ”芸能界ムーヴィーだった。

女の子3人組のロックバンドとマネージャーが、カリフォルニアへ行き、セクシストやジゴロ、ゲイ、レズビアン等と関係を持って、SEXとドラッグに溺れ、すったもんだがあって、誘惑もされて、ベッドを共にするものの、結局、元の鞘に戻って、女の子3人は以前からの本当の恋人と結婚するという、大したことはないストーリーだ。

後半に、LGBTの男が揶揄われたため、パーティに参加してた連中を惨殺する(首チョンパがある)という場面があるが、コレは映画撮影直後に起きたマンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺害事件にインスパイアされたものだという。

惨殺を演じた俳優は、30年後、映画と同様に、実際に殺人事件を起こして逮捕されている。

女の子3人組のバンドやファッションは雰囲気に合っててカッチョエエけど、当時のアメリカ・アンダーグラウンド・カルチャーの定番であるSEX、ドラッグ、ロックンロールをそのまんま表したような展開に、ハリウッド芸能界の真実やスター、有名人の乱れた生活を加えて、ヒッピーみたいな自由な反骨精神を感じられるところは、さすがはラス・メイヤーだぜ。爆乳が出てこないのは残念無念だけど。

ラス・メイヤーが、子供のような興味本位で、アレもコレもと詰め込んで、奇跡を呼んだような作品だ。

この映画は、タランティーノをはじめ、いろんな監督がフェイバリットに挙げている。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。