【古典映画】「野良犬」

黒澤明監督の、1949(昭和27)年のモノクロ映画「野良犬」。

三船敏郎主演の、刑事ものの犯罪サスペンスだね。

クロサワ映画では、お馴染みの面々が出てるが、クロサワさんの映画は真夏の設定が多いね。汗を拭き拭き動いているか、盛んにうちわで扇いでいる。蒸し暑いジメジメした不快な暑さが伝わってくるよ。そして、結局、泥だらけになって汚れる(笑)。それがクロサワ流のダイナミズムなのだろう。

三船敏郎演じる若い刑事が、帰途の満員のバスの中で、隣に立った女に、懐にあるコルト式拳銃をスラれてしまう。
拳銃には7発の弾丸が残っていたため、事件が起こるのではと心配してたら、案の定、拳銃を使った強盗事件が起きる。
若い刑事は、志村喬演じるベテランのスリ担当の刑事と組んで犯人を追う…といった物語。

この映画が、日本における刑事ドラマの嚆矢となったらしいが、そんなに面白くもなく、つまらなくもない。

冗長なシーンや、クロサワ映画ならではの予想できる大袈裟な演技、なんでそこで泥だらけになる?やり過ぎじゃね?…等、当然、クロサワさんの演出が冴えてるけど、緊張感はあっても、サスペンス映画ではワンパターンかも。

あとは、とにかく真夏の灼熱のジリジリとした空気が画面からも不快になるほどわかることだね。志村喬といえば、汚いタオルで常に汗を拭ってるみたいな。

今観ると、ダンスホールの踊り子のダンスや終戦直後の東京の風景も印象に残る。

クロサワ映画のキモは汗と泥だな。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。