「永山則夫」
永山則夫関連本を読む。
彼の死刑や犯罪について論じたものではなく、小説、詩、ノート、評論など、死刑になるまでの間に創作・表現したものについて分析したもの。
俺は「無知の涙」以外は読んだことはないが、「華」、「木橋」をはじめ、この本で傑作とされている「捨て子ごっこ」等、読みたいと思った。でも、多分ほとんどが絶版だろうな。
永山則夫の文学の根底に流れ、愛憎を持って表現せざるを得ないのは、やはり母のことである。時には決別の意を示し、時には甘えるような態度で接する。それが、弁護士や様々な理解者、獄中結婚した妻(のちに離婚)などへの想いにも波及している。
そして、誰も理解出来なくなった彼は、定番の、コミュニストのイデオロギーに傾倒していくのだ。
彼の幼少期の悲惨な体験がそうさせたのかもしれないが、獄中で様々な文学、哲学、思想を読み込む中で、知を得る喜びを知っただけに、結局、自分の体験を超えることはできなかったのだなと思うと、表現の力というものを考えた場合、それも無力だったのかとなんか悲しくなるね。
俺が言うのもなんだけど、被害者側が置いてけぼりになる今の不備な死刑制度には反対だが、永山則夫の死刑を否定するものではない。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。