【古典邦画】「花咲く港」

戦時中である1943(昭和18)年の、木下惠介監督のデビュー作である「花咲く港」。

舞台は、南九州のある小島。
15年前に、そこに造船所を作ろうとするなどして、島の人々の尊敬を集めた男の、息子を名乗る者2人が島にやって来る。
兄と弟を装う2人は、実は、島の人々に出資をさせて、一攫千金を狙うペテン師だったのだが、島の人々が、疑うことを知らない、あまりにも善良過ぎるので、2人は徐々に良心を取り戻していく…。

ペテン師の1人は、若き上原謙だが、さすがイケメンで、島の女にモテモテなのも良くわかる。

戦時下らしく、日本軍の進撃を喜び、造船所で船を作ることでお国のために貢献しようという流れなのは仕方がないけど、善意は悪意を駆逐するというか、挙国一致を前に悪人も改心するというか、まあ、軽い感じの人情喜劇である。

喜劇としては木下監督らしく質は高いと思う。

しかし、一見、微笑ましい喜劇ではあるけど、開戦の報が入った途端、善良な島の人々が「貴様、それでも日本人かぁ!」という台詞を吐くことで、国策映画であることを改めて知らされる。木下監督の次の作品は「陸軍」で、思いっきり国策映画なのだが。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。