【古典洋画】「リラの門」

巨匠ルネ・クレール監督の、1957年のフランス古典映画「リラの門(Porte des Lilas)」。ルネ・クレール監督の傑作といわれた作品がAmazonプライムで観れるなんて。

働きもせずに酒ばかり呑んで母親や妹に迷惑をかけている怠け者のダメ男ジュジュと、芸術家と呼ばれるギター弾きの友人が、警官に追われる若い負傷した強盗殺人犯の青年バルビエをかくまうハメになる。
最初は、拳銃で脅されて嫌々、友人の部屋の地下室にかくまうが、根は優しいジュジュは、「警察に密告するのはイヤだ、だからこれ以上悪いことはしてほしくない」と面倒を見ることに。
そのうち、ジュジュは、バルビエが話す、逃亡計画に自分の夢と希望を重ねるようになる…。

ジュジュは、バルビエをかくまうことになって以来、酒を止めて、バルビエの望み通りに、彼のために甲斐甲斐しく働くようになる。しかし、ジュジュが想いを寄せる酒場の娘マリアだけは彼の変化を怪しいと疑う。マリアを知ったバルビエは、彼女をも騙して金を奪って逃げようとするのだが。

ある意味、一途で純朴でとても優しいダメ男ジュジュの悲劇。

バルビエに自分を重ねて一緒に高跳びするのを夢見るが、イケメンのバルビエが、ジュジュが想いを寄せるマリアも夢中にさせたことで激しくショックを受ける。バルビエの目的が、金だけだったとわかって、逃げようとするバルビエと揉み合っているうちに、バルビエの拳銃で彼を撃ってしまうことに。

結局、ジュジュの勝手な思いやりと身勝手なのだが、ちょっと“知恵遅れ”と思われるような彼の行動が、とても愛嬌があるように演出してるから、ラストの悲劇がさらに際立つ。

また、マリアがコケティッシュな感じでスゴいカワイイし。

ホントにバカなダメ男だよなぁ、と嘆きたくなるけど、ルネ・クレール監督の、底辺の人間に向けた深い慈愛を感じてしまう良作であった。

成り行きで仕方なく人を殺してしまっても、好意を寄せる女を騙して金を奪うことは絶対に許さない、とジュジュが主張してるようだ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。