「JAL 123便墜落事故」

もう過ぎちゃったけど、この時期にはコレ。元日航の機長があの墜落事故について書いた至極マトモな本だ。

青山某らの自衛隊や米軍に撃ち落とされたとする犠牲者を冒涜したようなカルトな妄想インボー論も真面目に取り上げ完全否定している。そして、今だに妄想を支持する連中がいることに驚く。

専門用語が多くて流しちゃったところもあるが、急減圧による圧力隔壁の損傷で操縦不能となり、機体を立て直すのに必死だった日航123便の機長が、もっと冷静な判断でなんとか機を海側に持って行き、海上着水を試みていれば、史上最悪の犠牲者数を出さなくて済んだということを、実際にシュミレーションを行い、証明してもいる。死者に鞭打つ行為と非難されてるだろうが、ちゃんと機長らのミス?も検証してるので信用できると思う。

結局のところ、あの墜落事故は、現場の特定も救出も遅れ、生存者を見殺しにし、はっきりとした原因もわからず、その責任も曖昧なまま終わってしまったのである。事故調査委員会は、やはり米側に責任が及ばないように配慮・忖度して結論を出している。部品が落ちたところの海底調査も行われていない。

いち早く米軍が墜落場所を特定し救出作業に入ろうとしたが、突然戻されてしまったのは、当時の中曽根政府と官僚が、日本の事故なのに米軍にやらせるなんて、というくだらない組織優先のプライドが働いたからなのだ。記録を読むと中曽根元首相は、首相としての自覚が全くない。また防衛庁と運輸省、米軍とのやり取りを知ると、日本ってちゃんとした独立国なのかしらんと思ってしまう。これは現在にも繋がって来る。そして、民間に近いところでは、群馬県警と長野県警、埼玉県警、各自治体の縄張り争いが起こるなど、日本の行政組織の実状が顕著に出るきっかけとなった事故(事件)だったのだと思う。

日本のパイロットが計器や装置を重要視する傾向があるのに対し、欧米は最終的には経験から来る人間の感覚を大切にするというのはとても示唆的だ。

画像1


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。