「軍艦島入門」

軍艦島の存在を初めて知ったのは、高校生の時に、何か(「吼えろ鉄拳」だったかなぁ?)と同時上映で観た映画「純」だった。

漫画家を目指して上京した軍艦島出身の青年が、電車で痴漢することにハマっていく物語で、まだ炭鉱が閉山になる前の、活況を呈してた軍艦島の当時の様子を映したモノクロフィルムが使われてて、狭いコンクリートの庭?でたくさんの子供たちがひしめき合って遊んでたのを覚えてる。

福岡辺りの炭鉱遺産はほとんど見学したけど、軍艦島は観光船で巡るツアーに参加しなきゃならないし、関連本や写真集もいっぱい出てるし、昔ほど行きたいとは思わなくなったなぁ。

軍艦島というのは、島の外観が軍艦のように見えるとマスコミが付けたもので、正式には「端島(ハシマ)」というけど、帝国財閥・三菱が海底の石炭を掘る目的で作った人工の島(採掘自体はもっと昔からある)。

家族共々出稼ぎができるように、日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅(狭っ苦しいけど)やいろんな娯楽施設まで揃えて、ピーク時には世界最大の人口密度(0・063キロ平方メートルの狭い島に5000を超える人が住んでた)を誇ったという。

1974年(昭和47年)に突如、閉山となって以来、廃墟となってたわけだ。

それで、当時は、炭鉱の仕事は危険が伴うけど給料は高くて、誰もが、テレビ、洗濯機、冷蔵庫を揃えて、狭い部屋に置いてたらしい。写真を見ると、当時の豪華な家具調足付きステレオがそのまま残されたりしてる。

パチンコやビリヤード場、喫茶店などの娯楽施設に混じって、数軒の遊郭もある。でも、狭い島でのこと、遊びに行ってもすぐにバレるんじゃないかww。

また、当時の炭鉱だから半島からの強制連行ももちろんある。アルカトラズ島みたいに思えただろうな。

写真と文を読むだけでも、当時の様子が偲ばれるが、どこに行っても人、人、人で、独りになれる場所も、逃げ道もないような気がして、疲れなかったのかしら。俺だったら、またパニ障になっちまうね、きっと。

あれだけの人いきれがウソみたく、突然、神隠しにあったように、家具や家電を残して一斉に人が消えてしまった島。歴史がピタッとそこで止まってしまった島。炭鉱の坑道ルート、様々な施設など、まだまだわからないことや、廃墟に湧いて出る都市伝説っぽい話もある。人間が活動してた場所は何かしらの想いが残ってるのかもね。

そういえば、映画「純」も、軍艦島という故郷を失い、自分を失くして彷徨ってる青年が主人公だった…。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。