【古典邦画】「女」
木下惠介監督の、1948(昭和23)年の作品「女」。
なんかズバリのタイトルだけど、水戸光子と小沢栄太郎の2人の出演。
踊り子である敏子は、恋人でもあるチンピラやくざの町田に、無理矢理に箱根へと連れ出される。町田はどうやら犯罪を犯したようで、敏子は、町田から離れられずに逃避行に付き合わされてしまう。しかし…。
派手な展開はないけど、2人の顔のアップ(ヒロインはそんなにキレイじゃないけど)が多くて、2人の表情から見出される感情の動きが見事に表現されている。
町田の悪人ぶり、ズル賢さ、計算高さ、非情さとその裏腹の優しさと包容力に、敏子の弱さ、女っぽさ、依存性、そして、町田を見切った時の強さ、頑固さ、冷たさとを対比させて、サスペンス・ドラマの如く描かれていく。
「そんなの利用してるだけに決まってんじゃん。ヒモじゃんか。なんで付いて行くかね〜」と思うところも多々あったが、まあ面白いドラマであった。
ラストの、火事が起こって、その騒ぎに乗じて窃盗を働いた町田に対し、敏子が見切りを付けて、「この人は泥棒です!捕まえて!」と絶叫、町田は周りの男たちに押さえ付けられて泥だらけになるシーンは、当時、木下監督のライバルであった黒澤明が絶賛したというがよくわかる。過剰に叫んで動いて泥だらけになってりゃいいのだ、黒澤監督は(笑)。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。