「歩いて行く二人 岸惠子 吉永小百合」

昭和の、中高年ジジイのほとんどが“サユリスト”である、というけれども…。

その小百合さんと、「赤い疑惑」の幸子の実の母(というイメージが強い)、岸惠子さんのパリにおける対談と写真。

小百合さんが失恋旅行他で度々訪れて、岸さんは移住してるし、お二人とも、パリにはとても縁が深いようで、石畳みのステキなパリの街並みに、こんなにピッタリ合う、日本のステキなオバ様たちは、そうざらにはいないんぢゃないか。

小百合さんの和服がまた、キリッと引き締まった崇高な美の雰囲気を醸し出してるし。

映画における二人の共演は、1983(昭和58)年の市川崑監督の「細雪」のみだが、文通他で交流は続いていたようだ。

対談は、まあ、当たり障りのない話が中心だけど、原発に対して、小百合さんが「日本は、時代を戻してでも脱原発をすべきです」と言ってるのに対し、岸さんは「こういう大事なことはせっかちに決めない方がよいと思うの。人類にもたらす良いものだけを残して、危険なものを削ることはできないかしら」と答えている。

尖閣諸島問題でも、小百合さんが「あれは曖昧でもいいじゃないかと思います」と言うのに対し、岸さんは「それは違うんじゃないかしら」と、中国の一方的な動きを批判し、甘すぎる理想論と指摘している。

岸さんは、ジャーナリストとして世界の紛争地帯を巡った経験から、紛争はなくならない、世界が平和になるなんて有り得ない、と喝破、イラン・イラク戦争の真っ只中に単身イラクに飛んで、「さんざん嫌な思いをして、結局わかったのは『私にはわからない』ということだったわ。絶対にわからない」と述べており、とても共感できた。

小百合さんが理想主義者で、岸さんは現実主義者だな。

今年、吉永小百合さんは79歳、岸惠子さんは91歳…。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。