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『千年の読書』 人生を変える本との出会い  三砂慶明


三砂慶明さんの『千年の読書』が四刷になったそうです。
おめでとう御座います。

「おめでとう御座います」と言う言葉で良いのかな?
本当に凄いと思うのと同時に、いい本なので納得しています。

この本と出会ったのは昨年、時々立ち寄る大阪梅田ルクアの蔦屋書店梅田店で平積みしてある真っ白な表紙に目が止まり、手に取った、、と記憶している。
「タイトルだけで面白そうやん…買うか買うまいか…」

もともとのお目当ての本を探そうと一旦保留にし、人文書の棚の前で店員さんに尋ねた(何を尋ねたかは失念している)。

人文書担当のその店員さんが著者の三砂さんだった。

通常大型書店の店員さんはいつも忙しくされていて、声をかけるのにはいつも躊躇してしまうが。三砂さんはいい意味でのスキがあり、尋ねやすく好印象だった。

著者とは知らずに声をかけたけど、店員さんの名札と著者名が一致したので、もしやと思いたずねると、やはりそうだった。
(ペンディングしていた本)+(好印象の著者)=もちろん購入
と言う、初めての本の購入パターンでした。

『千年の読書』を手にした瞬間に伝わってくるのは「本」作りのこだわりです。
カバーデザイン、装画、フォント、表紙、紙質。
妥協無き著者のこだわりが感じ取れるのと同時に、商品としてのコストは…と、いらぬ心配までしてしまいました。

上質紙を使った「扉」

「本」「本」「本」なんです。
「本の雑誌社」が出す「本の雑誌」と言う「雑誌」もありますが。
「本の本」です。

まえがきは
「なぜ人生には本が必要なのか」

私は本に人生を何度も助けられてきました。

と始まる。

友人と絶交し、その帰りがけに読んだ本が面白過ぎて、思わず絶交したばかりの友人に電話をしてしまった、エピソードから話しは始まり。色川武大、アリストテレス、ソクラテス…ヴァージニアウルフ、シェイクスピア、源氏物語、更級日記、ミヒャエル・エンデと続きます。まだ、まえがきです。

あなたが人生の帰路で悩んでいるとき、ちょうどぴったりの瞬間に、ちょうどぴったりの本を手にとり、ちょうどぴったりの箇所をあけ、ちょうどぴったりの答えを見つけるなら、あなたはそれを偶然だと思いますか?
『M・エンデが読んだ本』ミヒャエル・エンデ

まえがきの中でミヒャエル・エンデのこの文章が紹介されており、この文章を噛み締めてみるだけでも充分な気もしますが、本編はこれからです。

まえがき なぜ人生には本が必要なのか

第1章 本への扉 人生を変える本との出会い
第2章 生きづらさへの処方箋 眠れない夜に読む本
第3章 新しい働き方を探す旅
第4章 「お金」から見た世界
第5章 「おいしい」は味なのか 現代の食卓と料理の起源
第6章 幸福の青い鳥 瞑想と脳と自然
第7章 本から死を考える 死の想像力

あとがき 本との出会いは人との出会い
BOOK LIST
『千年の読書』目次

『千年の読書』は小説、哲学、宗教、ビジネス書、料理等、幅広いジャンルの本が紹介されていて、それだけでもビックリさせられます。「本の本」と言えば「書評」「要約」とイメージしてしまいがちですが『千年の読書』は「書評」や「ブックガイド」が陥りがちな、押し付けがましさが無く、著者独特の、柔らかくて優しい文章で著者の感想や気に留まったセンテンスをセンス良く、エピソードトークと物語にからめながら紹介してくれています。「あっ、そう言う読み方をするんや」「そんな風に感じるんや」と思いながら読む「本の中の読書会」と言った方が良いのかも知れません。

京都の文化センターで読書会を開いたり、WIREDで書評も書かれていますので。
当然の実力なんですね。

心を自由にしてくれる本

『千年の読書』を読んだ後に一番に購入した本が

『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』

『千年の読書』の第1章で紹介されていて、「読んでみたい」と思いジュンク堂大阪本店で購入しました。

後日、その旨を蔦屋書店梅田店へ伺った際に三砂さんに報告しました。(笑)

三砂さんは「『千年の読書』で紹介した本の中でも、思い入れのある本の一冊なので、嬉しいです」と大層喜んでくれました(もちろん、僕の思い入れの本にもなりました)。

『千年の読書』を手にしなければ『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』も手にすることは無かったでしょうし、三砂さんと知り合う事も無かった様に思います。

『千年の読書』は『千年の読書』のあとがきの通り、僕にとっても「本との出会いは人との出会い」になりました。


その後も『千年の読書』で紹介されている本、蔦屋書店梅田店で直接、三砂さんに相談したりしながら選書と読書は続きます。

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