手紙その14『一心一徳』
2023年は人生で一番、悔しい1年間だった。
もう叫びたいくらいに。
正しく評価されなければ、人は腐るということ。
それを学んだ。
『上級生(4年生)を優先的に先発させる』
3年生の君はそのチーム方針に飲み込まれた。
君は1年生で入団したが、唯一の1年生だった。
当時2年生は7人だったため、将来を嘱望された。
しかし、そこから上級生の入団者は増え続けた。
最終的な現在のチーム構成は…
4年生11人、3年生2人、2年生2人となった。
そのため、3年生の君はレギュラーを外された。
親の贔屓目なしでも優れた選手だと思う。
脚があまり速くなく、バッティングも得意とは言えないが、グラブ捌きは高学年レベル。
僕の影響か、2月生まれにしては身体も大きい。
4年生以上のプレイをする事も少なくなかった。
誰よりも野球が好きだった。
野球選手のモノマネが得意だった。
成長のスピードがずば抜けて早かった。
君は先輩達が大好きでリスペクトしていた。
肩を並べて一緒に戦いたかったと言った。
僕らは、大好きなチームを勝たせたかった。
ともに戦って勝利を分かち合いたかった。
その一心で僕らは毎朝、朝練に取り組んだし、
誰よりも早くグラウンドで準備をした。
毎日毎日。毎週毎週。
いつでも出場する準備はできていた。
僕の新品のグローブは1年で穴が空いた。
サンタさんから貰った大谷モデルも限界が近い。
1年間で30試合くらいだろうか。
そのうち、出場したのは2、3試合。
それも1打席だけの途中出場ばかり。
守備機会はほとんどなし。
持ち味は4年生以上の守備力なのに。
それでも君は毎朝、腐らずに練習した。
一方、僕はコーチとしてほぼ全試合ベンチ入り。
声を張り上げ4年生を応援し続けた。
このチームで勝つために誰よりも一生懸命だった君が出ない試合で。
君が出ていたら勝てたかもしれない試合で。
ベンチで君と並んで、負けるのを眺めた時、
君はどんな気持ちだっただろう。
僕は負ける度に、朝練を思い出したよ。
あんなに頑張ったのにって。
こんな思いをするために頑張ったのかなぁ?
君の責任で負けるほうがどれだけ良かったか。
出場しないからフィードバックもクソもない。
次の練習に何も繋げられない。
君は、君だけは腐らなかった。
その真摯な姿勢だけが僕の支えだったよ。
もうすぐ君は4年生になる。
恐らく下級生チームのキャプテンになるのかな。
新たなチームメイトも増えてきている。
その中にはウチの三男坊もいるよな。
君も含めて、後輩たちはいきなり戦場に放り出される事になる。
多分、ズタボロにされる。
打てない守れない勝てない日々が続くはずだ。
もう野球を辞めたいと思うかもしれない。
だけど、そんな君にサンタさんから、とっておきのメッセージがあっただろう?
辛くなったらグローブの平裏を見ておくれよ。
君の漢字が含まれたこの言葉。
『大勢の人が共通の目標に向かって団結する事』
そんな意味がある。
この言葉に込められた願いを、やっとやっと、
叶える時が来る。
来年、長男は6年生だ。
普通は最終学年のチームに親は帯同する。
僕はこれを固辞する。
君と君の仲間と僕の悲願を達成するために。
君と君の仲間で『一勝』してみせる。
絶対に。
バーベナ
花言葉は『団結』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?