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よろこびもくやしさも力に変えて

先週末、大阪・北加賀屋で開催された『KITAKAGAYA FLEA 2023 AUTUMN & ASIA BOOK MARKET』にボランティアスタッフとして丸二日間参加した。スタッフとしても非常に楽しませてもらい、思い返すと夢だったのかと思うほど現実味のない時間だった。

これは、痛いほど感じた自分のちっぽけさを、
未来の私へ残すために綴る記録。

そもそもなぜスタッフを志願したのか

今年の春先にイベント主催であるインセクツから出版となった『IN/SECTS Vol.16 本をつくる』をたまたま手に取り(その時初めて大阪の出版社であることを知った)、その後何気なくフォローに追加したSNSでイベントの開催告知とボランティアスタッフの募集を目にしたことがきっかけ。
偶然は連鎖する。それは行動に伴って引き起こされるのだ、と確信に変わった瞬間。

応募メールを送ったのは今から遡ること4ヶ月ほど前で、イベント自体が開催される10月末の予定なんて皆目見当がつかなかったけれど、えいやと送信ボタンを押したあの時の自分に拍手を送りたい。私にとってそれは、こよなく愛する本との距離をグッと近づけるための新しい挑戦だった。


得たよろこび

どんな方がいらっしゃるのかも、規模感でさえもよくわかってないまま迎えた当日。そわそわと落ち着かない心を抱えて早めに自宅を出発し、一駅前で降りてパンを買って近くの公園でほおばった。外で食べるパンって日常の中のワンシーンが凝縮していてなんだか好き。気持ちのいい秋晴れの下、到着した頃にはすでにあちこちで準備が始まっていて、大人の文化祭ってこんな感じなのかなあと気分が高揚したことを覚えている。

一日目に行われたライブステージでは、気がついたら最後には陽気な輪に吸い込まれるようにして踊っている自分がいた。そういえば人前で踊るなんて学生時代のフォークダンス以来なのか?確かに、同じ反時計回りだし。なんてことを考える隙も与えないくらい「今ここで踊っている自分」を存分に味わった数分間。偶然ここに会した人々が同じリズムを刻んで思いのままに体を動かしているなんて、味わったことのなかった楽しい光景がまだまだあるんだなあと、気づかされる30歳。

たまたま同じフロアのスタッフを担当した女の子が同じ年生まれだとわかった時は、仲間はここにいたのね!!と無性に嬉しくなった。「同い年の子ってほんと出会えないよね」と二人で大共感の嵐。なんかあってからじゃ遅いし、と思ってうんとこせと前日に刷った名刺ちっくなものも渡せてよかった。

二日目ともなると、マップは頭の中に入っているし要領も掴めてるからいけるっしょ!と思っていたのが非常に甘かった。なんなら一日目よりもばたついていた。でもそれがまた心地よかった。こんなに一日中体を動かしてることなんて久しくなかったし、週明けからの筋肉痛に怯えながらもとにかく動き回った。結果、足は棒になった。

午後には以前から少し交流のあった方がイベントに足を運んでくれ、直接お会いすることができた。オンライン上の文章でしかやり取りをしたことのない人が目の前にいるのが不思議で、でもそれ以上にはじめましての緊張がなぜかないのも摩訶不思議で、ふわふわした気分のまま「またお会いしましょう」と手を振っていた。いつも拝読している文章をそのまま具現化したような優しい方でなんだかホッとした。


受けたくやしさ

さて、上に書いたよろこびをまるっと飲み込んでしまうくらいの悔しいこともあった。これを残すために今、文字通りぐぬぬと唸りながら書いている。

すぐ隣に、目の前に、話しかけられる距離に、自分が憧れている場所で働いている方が存在するというのに、どうにもこうにも自分がちっぽけに思えてその場から逃げ出したくなるほどぎゅっと恥ずかしくなり、何一つうまく話せなかったことがいつまでも頭の中を反芻している。心がけていたはずの、ちょっとはみ出す行動が取れなかった。

この際正直に言うと、「何のお仕事をしているんですか?」と聞かれるのが怖かったんだ。手持ちのものに、声高々と言えることが一つもない自分。それなのにこんなにもありがたい経験をさせてもらえている申し訳なさ。このうす暗い感情に気づけたことにもきっと意味があったと納得に落とし込もうとするけれど、こうして書いているとやっぱりまだ「悔しい」という感情に飲み込まれる。それだけ、自分の中では大きな出来事だった。


それらを体感して、これから

チャンスの神様、カイロスには前髪しかないという言い伝えがある。二度と同じチャンスは巡ってこない。それなら私は、「またお前か」とぼやかれるほどに行動と挑戦をひっきりなしに巻き起こしていくだけだ。いつか前髪引きちぎったるからな。

この二日間の出来事をすべて食べ尽くして今年の残り2ヶ月もひたすらもがき続けるに違いない。でも手足を動かし続けていれば、今年の末には思ってもみない場所に辿り着けることを私は知っているから。


これは、おっきな一歩を踏み出す勇気を、
今の私へ授けるために綴った記録。


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