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白い傘と手紙

少し前にお仕事させて頂いた時のお話。

そしてここ最近で一番印象に残った仕事、いや仕事というか人との出会いの話です。

今回お仕事を頂いたオーナーさんはリラクゼーションサロンを開きたいというとっても可愛らしい女性。会った瞬間から笑顔の可愛いその人は、現場の最中も始終可愛らしい人だった。

空いてる一軒家を使い、なるべく工事をせずにインテリアだけでイメージチェンジを図るというもの。元々DIYにも興味があるから壁などの塗装は全部自分がやります!と言っていた彼女だったが、一軒家の玄関・トイレ・洗面+3部屋全て使う事になっていたので、全部DIYで仕上げるなんて流石に出来るのかなと思っていた私。私もDIY含んだコーディネート?みたいなのはやった事がなかったので、DIYがどの程度大変かも分からず、心配だったので設計をやっている友人にこのぐらいの量を一人でやるって出来るもの?と尋てみると、だいたいは手伝いに来てくれる人がいるから、大丈夫じゃない?と言われ、あ、そうだよね、流石に誰か手伝いに来てくれるよねって、勝手に解釈していた。

だけど、現場が始まってからびっくり。彼女は来る日も来る日も一人で黙々と作業をしていた。何がすごいって、単純な塗装じゃないからだ。

今回、依頼されたイメージが「モロッコ」、だけど話を聞くと「タイ古式」と「バリニーズ」の施術をされるという事で、日本家屋→「モロッコ」イメージだけど、「タイ」+「バリ」の要素もいるという、どう統一させるかで私の頭は最初混乱した。彼女の話を聞いていると、お客さんに「非日常に遊びに来た」感じで癒されて欲しいとの事。とにかく求める所はそこだよねと理解しながら、モロッコカラーを基調にインテリアのイメージをまとめる事にした。そもそもモロッコのイメージって、外なのか中なのか境界線がないような空間のイメージが強く、その雰囲気を出すには【壁】だなと思い、ここから彼女の【壁】と向き合う毎日が続くのだった。。

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↑写真を撮った日が雨で暗かった為、こんな写真しかないのが残念だが、エントランスは第一印象で大事なので、一番手を掛けた場所。

DIY向けの塗りやすいものからではなく、普通にプロの方も使われる左官塗料から選定、ベルアートから3色混ぜてむら塗りした。

写真参考:1293ベースに1831と1595あたりをムラ塗りhttps://www.sk-kaken.co.jp/product/exterior-finish-materials/bellart/

この壁は下地のパテ処理3回やったらしく、その頑張りに脱帽。(塗装といか、下地処理がまぁまぁ地味で根気のいる作業)自分なら途中でやめてしまいそうだ、、なんて思っていたが、彼女的には、私が丁寧に選んでくれたものだから素敵な壁にしたい!と言う。どんだけ純粋で可愛い方なんだと思いながら、基本私はDIYに参加してなかったが、エントランスのムラ塗りは彼女も困っていたし私も興味があったので一緒に挑戦した。

彼女は最初から最後まで私の決めたことを本当に信頼してくれていて、時々こんな直球な誉め言葉恥ずかしいよっていうぐらい素敵な言葉を私にくれた。なんか、恋人からもらった言葉の様な、すごく大切な感じで言ってくれるので、私は最初から彼女に心奪われてたww

そんな彼女だから、現場に電気とか基本的な工事で来てくれる職人さんもきっと気持ち良く仕事が出来たと思う。こういう時に人柄って出るよなーと、改めて考えさせられた。なんというか、無償の愛感が彼女からは伝わってくる。

エントランスの塗装を二人でやっていると、色々知らなかったこともいっぱい話せたし、意外な事も多くて、飾らない彼女の生き方を知ってすごく心が癒された。

私はすぐ“せかせか”しがちで、もう生き急ぐなよって思って途中から少しスピードダウンしようとしたが、それでも基本の思考はなかなか治らない。それと反対の様な、彼女の良いマイペースさに触れて、とても癒された。

私は本当は彼女みたいな感じでいたい。けど、ついつい色んなもの見てしまって走りがちになる。彼女みたいに落ち着いて、自分の事にゆっくり集中できる、そんな心になれたら良いのになと思った。

そして無事現場が完了したころ、彼女は私にプレゼントをくれた。二人で塗装しながら私が雨が嫌いという話をしていて、それを覚えて選んでくれた素敵な“白色の傘”と、茶色い封筒にアルパカの愛らしいシールで封がしてある“手紙”。気遣いの“傘”でやられ、遂には“手紙”まで頂いてしまい、私の心はもう満たされまくっていた。

大人になって、しかも仕事で手紙をもらうなんてことそうそうなかったので、その日はすごく心が温かくなった。そういう気遣いが出来る彼女に出会えて、一緒に仕事が出来て本当に良かったなと思ったし、この彼女と出会えた事がこの仕事の印象そのままとして残った。

私の性分は変えれないけど、また影響されたい人が一人増えた。

時々会いに行って、無償の愛オーラをもらおうと思う。

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リラクゼーションサロン tanon  


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