2024.07①

「自己肯定感が低下していく理由が分かった」彼はポツリと呟いた。
「とても興味深い」私はそっと耳を立てる。
「それは自分が自分を裏切り続けてきた結果だ!」彼はそう私に言い放った。
体育座りの姿勢で聞いていた私はそのまま地平まで転がり続けていきそうなほど心の真ん中を貫かれた。

「だから2ヶ月前から走り始めている」

そんな一幕があった一週間前。
見事に踊らされる形で走り始めた私も6日目となった。
「なぜこんな梅雨時期に?笑」
と指摘される事も何処吹く風、思い立ったが吉日である。
コロナ前にはフットサルを月に一度参加していたが、それ以来。
ハムに乳酸を注入する作業を粛々と続けている。
今年の日本シリーズがスワローズVSファイターズになるくらいには、かなり絶望的で慢性的な運動不足に陥っていた私は、初日から腹筋がちぎれそうになっていた。いやもはや腹筋が2・3本持っていかれてるかもしれねぇという感覚だった。
2日目はサイズ間違いのスニーカーを裸足で履いて走るなんていう風上どころか風下にも居場所がないくらいの舐めプをしてしまい、コースの半分に満たない所で3箇所靴擦れを起こした。泣いた。
3日目からは流石にランニングシューズを購入し、ちぎれた腹筋を引きずりながら走った。
ちぎれた腹筋はやっと昨日から平穏を取り戻し、今日に至る。

ランニングという行為が昔から苦手で、割と避けてきた運動だった。
それならば鉄の棒で白球を打ち返したり、友達を奪い合いながらそれを相手の陣地に蹴り飛ばしたり、そんな分かりやすさを求めてしまうような学生時代を過ごしていた私は、ただ目的地に向かって走るという行為に意味を見出せなかった。しんどさが向かい風におぶさってただただ押し寄せてくるだけじゃないかと。
そんな私が、様々な紆余を右にばかり曲がって堂々を巡っている現状からの脱却と単純に彼の言葉に感銘を受け、今日に至る。

ランニングはとても良い。
頭の中が真っ白になる。
他のことを考える余白がなくなり、無心になれる。
とても面白いと思ったのが、遥か昔小学生の頃、人生初めてのマラソンが開催されるとなった時に、学校の外周を練習で走ったりしていた。
家に帰り、そんな話をしていたのだろう。母親から「マラソンを走る時はな、鼻で2回吸って口から2回吐くんやで」というアドバイスをもらって「へー」と口は半開きで視線も虚空を見つめていた少年は、時が立ちその呼吸法を使って走っていた。染み込んどるんかいと、ツッコミを内側からで入れてしまい脳が揺れた。

まず1ヶ月は続けようと思う。

7月4日。

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先日撮影に行ったボクシングジムの動画が公開された。
山原武人くん。なんだかあの日よりも彼のタフさを強く思い知る。。。
8月4日、復帰戦勝利を強く願っています。


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