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アントニオルイスピポ

別府の喫茶店で3人でコーヒーを飲んでいた。冷房の鋭い冷気が夏を実感させる。Lしかないスピーカーからは、さっきからクラシックが流れている。曲が終わるとフランス語の解説が入る。フランスのラジオのクラシックチャンネルだろうか。

少しするとクラシックギターの独奏が流れ始めた。初めて聴く曲で、録音は古く、セゴビアの録音に似たような質感の作品があったが、彼の演奏ではなさそうだ。曲調はゆったりしていて和音が独特である。旋律は民謡のようだ。曲が終われば解説が入るはずなので、スピーカーから流れる音に集中する。曲は展開し、舞曲になり、また冒頭に戻り、静かに終わった。数秒沈黙があり、解説が始まる。「アントニオルイスピポ」、そう聞こえた。作者か演者かは分からない。どちらでもないかもしれない。

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