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カレーのこと

カレーを作るようになったのは、高円寺のコクテイル書房でランチ営業をすることになった時、店主が「カレーとラーメンは駅から遠くても人が来るから、どっちかやったら?」と提案したことがきっかけだった。設備のハードルが低そうだったので、カレーを選んだ。先ずは色々なカレーを食べに行って好みのものを探すことにした。

南インドカレーとスリランカカレーが気に入った。特に前者のミールス(定食みたいなもの)が面白いと思ったので、それを意識してカレーを開発することにした。カレーが2種類に副菜が2種類付いたプレートを定番にした。初めはインドカレーに寄せていたが、だんだん自分好みの優しめの味付けに変化していった。

最初に料理の世界に足を踏み入れたのは、京料理だった。京都に住んでいた時、街中で見つけた調理補助のバイト募集が、カフェだと思ったら京料理のお店だったのだ。「カフェの仕事は初めてですが、大丈夫ですか?」と電話で伝えると、「誰でも最初は初めてですから」と返された。電話の相手は社長だった。後日、面接を受けるため、少し長い階段を登って行くと、そこはカフェではなかった。

うろ覚えだが、初めは物足りないくらいで食べ終わるときにちょうど良いのを目指せ、みたいな言葉が頭の片隅に張り付いている。

南インドどころかインドにも行ったことがない。今後も自らの意志で行くことはないと思う。

南インドカレーのミールスに京料理の要素がなんとなく交わる気がした。最近始めたカレーを中心とした多目的ショップ「と」のカレーは、カレーが2種(1種類の選択も可能)に付け合わせが4種を定番にしている。付け合わせは、特にインド風にこだわっていない。葉物の胡麻よごしやキノコの煮びたしのような、和の惣菜も織り交ぜている。

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