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パニック障害を発症してから②

待望の半年間の失業生活が始まりました。
10月から翌年の3月までの半年間、さて、どのようにして生活しようか?
社会に出てからほぼ働き通しで、長期間家で過ごすなんて、初めての経験でした。

失業保険の申請でハローワークに行きました。大勢の中は苦手でしたが、お金を得る為だと言い聞かせ、必死に頑張りました。
でも、その時は発作は起きませんでした…。

今思うと、自由に移動できる空間だったからかも?と思うのです。

毎日千羽鶴をおり、早く良くなって仕事に復帰するのを目指して毎日を過ごしました。

途中、免許の更新がありました。

以前なら有料ドライバーは講習無しで済んだのですが、法改正により30分講習を受けなければならなくなってました。

困った…。

発作が起きた時、逃げられない状況が一番苦手です。

実際、そのような状況が怖くて、美容院にも行けなくなってましたし、歯医者も当然無理でした。

どうしよう、30分間…。途方にくれました。

でも、これを乗り切らなくては。免許が無ければ生活できない。

親が免許を持っていればどうにかなりましたが、残念ながら運転できるのは、私だけでした。

当日を迎え、動悸が激しくなるのを我慢しながら、平静を装い席に着きました。

「どうしよう、逃げられない」と考えると、そこに集中してしまい、かえって気分が悪くなるので、それを考えないよう、教本の内容に集中する事にしました。

すると、時間が経つにつれて、気分が徐々に良くなってきました。

あと10分!もう少しだ!!自分に言い聞かせながら講師の話を聞いているうちに、気持ちが晴れてきて、「あれ?もう少しで解放されるとなると、平気になるんだな」と気がつきました。

そして講義が終わり、免許を受け取る段になると、気分晴れ晴れで爽快感を味わっている自分がいました。

一つ山を乗り越えた感じがして、こんなちっぽけな事なのに、凄い事を成し遂げた気がして帰り道は「ヤッター!」と叫びたい気持ちでいっぱいでした。


半年の引きこもりの間は、1週間に一度近隣の少し大きなスーパーへ母親と一緒に買い物に行くのが大きな外出でした。
そのスーパーでも、急に息苦しくなり居ても立っても居られない不安感が襲ってきて、母を残して車に逃げる事も何度かありました。

1人でスーパーで買い物をしている時も、レジに並んでいる大勢の方を見ているうちに不安感が襲ってきて、カゴに入った品物を戻す事もできず、そのまま置き去りにして帰ってきた事もあります。

そんな日常だったので、免許の更新は、本当に大きな飛躍でした。

…ただ、半年経っても、症状は一向に良くなっては、くれませんでした…


病院も色々変えました。しっかりと治してくれる病院を探しました。
何件も行きました。少し良い評判を聞くとすぐに訪ねました。

ある日友人が見かねて、ある精神科の病院を教えてくれました。
「精神科だから、少しショックな環境かもしれないけど、すごくいい先生がいるから、その先生を指名してみたら」と言ってくれました。

待合室では、やはりギョッとするような人もいましたが、思ったほどはビックリしませんでした。

眼鏡をかけた、痩せて背の低い、若い(30代?)先生でした。

今まで診てもらった先生方と違い、何か、受け入れてもらっている感じがして、気持ちが軽くなった記憶があります。

そして、その先生が処方してくれたお薬が、ルボックスでした。

それは自分にとっては劇的に効いて、それと一緒に抗不安薬を服用すると、ヤル気が出てきて、出来なかったことが出来るような気持ちになりました。

紹介してくれた友人には、本当に感謝しました。

さて…。失業保険が切れる。私がお金を入れなければ、我が家は成り立っていかない。それでなくても、お給料に比べると失業保険は金額が足りず、切り詰める生活です。

その当時は、母親がなけなしの貯金を切り崩して、どうにかしのいでいたのだと思いますが、私には余計な負担をかけないよう黙っていれくれたのです。

パートでもいいから、何か仕事を。

急に発作が起きても早退できるような仕事。

そうだ、大勢がいる、部品製造会社なら。

ルボックスのおかげか、何とかなる気がして、面接を受けてみたところ採用となり、生まれて初めての製造工にトライしました。

職場は若いママさんも大勢いて、子供も小さいので何かあったらすぐに早退する環境でした。なので、気持ちが楽になり、また時間も短いのでどうにか勤める事ができました。

何より、まっとうに仕事ができるんだ!という喜びの方が強かったです。

でも、でも、出来れば家にいて、どこにも出たくない。
安全地帯にいたい。

そんな気持ちで、お休みの日を心待ちに、何とか必死に日々仕事に出る毎日でした。






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