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第6話:想い(ポエム)と説得(プレゼン)は別物


山上:第5話では演出の話の中で、正解かどうかは誰にもわからないと言いましたよね。だから演出時の取捨選択は『どんな風に売り込みするか(=ボイスサンプルを通してどうなっていきたいか)』が軸になります。
ですから、収録の前の打ち合わせでは「どうなりたいためのサンプルか」を擦り合わせておきたいのですね。

新人ちゃん:私も売り込みは右も左もわかってないから‥‥どうなりたいってこと自体ぼんやりとしてて、夢みたいな話しかできないなぁ‥‥って思ってます。

山上: 真剣にリアリティ持って語る夢なら、例えば年収1億目指したいって言われても僕は笑いません。さらに「やる気がないとかではないけど無理して自分らしさを失ってしまうのは嫌。だから年収100万で良い」と言われても、馬鹿にしたりしません。

新人ちゃん:そうなんですね、ちょっとホッとしました、ごりっぱさんって、意識高いっていうか、ガツガツしてる人に来て欲しいのかな?って思ってました。

山上:お好きな人生を歩んでほしいんです。でもだからこそ、サンプル作る際、想い(ポエム)として作るのか、説得(プレゼン)として作るのかだけは、区別しておいていただきたいです。

新人ちゃん:ポエムって‥‥その言い方にすでにちょっと抵抗感が……

山上:馬鹿にしてない!違う違う!2つに優劣ありません!世界線が違うだけ!
ポエムは理屈を超えて「私の思い」を伝えるものです。もし共感してもらえるなら最強です。でも元々理屈を超えた部分のことですから、伝わらないことを覚悟しなきゃダメです。

新人ちゃん:格好良くいえば…アート?

山上:そうです。だから「もうすでに知名度がある人」に超有利な世界です。売れてる人の機嫌は誰だって伺いたいですからね。
でも無名な人であっても、めっちゃ共感呼べれば、一発大逆転もありえます!

新人ちゃん:最近だと「うっせえわ」とか私は知らないアーティストさんでしたけど超共感して一発で大ファンになりました。

山上:素敵なエピソードですね!
でも一方で「やってみないと結果は誰にもわからない世界線」です。だから僕はお手伝いできるところがほとんどないのかもしれません。
これが事務所マネージャーや番組スタッフなら売り切ってみせるということで、実証をあげた後になら話せることがあるんですけどね‥‥でも残念ながらごりっぱスタジオはセッターであってアタッカーではないので、本当に何も出来ないんです。

新人ちゃん:役割が違うんですね‥‥

山上:ポエムの話に戻りますね。知名度のない人が思いをぶつけてもなかなか共感してもらえない厳しい世界線です。

新人ちゃん:確かにYoutubeやTikTokなどで、売れっ子YouTuberでもないのに内輪ネタをやったりしてるのみると痛々しくて‥‥好きな人は好きなんだろうけど、私にはピンとこないな〜って。

山上:聞き手の共感ありきの世界線ですからね。
そこで、もう一方の「プレゼン」という考え方。共感だけに頼りすぎず「説得」するんです。客観的な事実や整合性のとれた仮説などで人を動かそうとするものですから、聞き手にとって感情の問題はそこまで本質的ではありません。プラスになるかどうかで判断してもらう土俵です。だから、多少の作戦が立てられるともいえます。

新人ちゃん:大袈裟にいうと‥‥就活のエントリーシートみたいな?

山上:事業計画書とかね。

新人ちゃん:「リアリティがあれば」の言わんとすることが少しわかってきたかも‥‥。私を含めて多くの新人がポエムとプレゼンをごっちゃにしがちってことですか?

山上:そうそう。あくまで僕はどっちでも良いんですよ。でもご本人自身が玉虫色にしてると、ご自分にコミットしてないってことになりますよね。そのままでは僕としては取捨選択のサポートができなくなる。そうなると胸を張‥‥

新人ちゃん:また出た『胸張って料金請求できない』!ここんとこ第7話で深掘りさせてもらっても良いですか?!

山上:いつ何時、誰の挑戦でも受ける!

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