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ジーニー プレゼンテーション

いくつかのマジックを続けて演じる場合の演出アイデアです。
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(マジシャン)
「こんにちは。 マジックをご覧いただきます。
 突然ですが、皆さんアラビアンナイトってご存知でしょ。魔法のランプが出てくるあのお話です。
 魔法のランプをこすると……煙と共に魔神が現れ……3つの願いを叶えてくれます。
 それにちなんで、今日は、皆さんが選んだ3つのマジックをお見せするという『皆さんの希望を叶えるマジックショー』になっております。
<7~10個ぐらいトリックのタイトルが書かれている紙を見せる>
 これが本日のメニューです。見たいものを3つお選びください。何を選ぶかによって今日のショーの面白さも変わります(笑)。ショーが成功するかどうかは皆さんの選択に関わりますので慎重に考えてください」
 といって3つのタイトルを選ばせて、そのマジックを演じます。
最後に、「皆さんのお陰でショーが盛り上がりました。ありがとうございました」といってお辞儀をして終わります。
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 メニューには、あなたのレパートリーから見せたいトリックのタイトルを10個ほど書いておきます。演じる3つのマジックは、観客自身が選んだものですから、興味津々で最後まで見てもらえることも間違いなしです。さらに、選ばなかったマジックがどんなものかも気になり、あなたのマジックをまた見たいと思わせる効果も期待できます。

<こまかなこと>
●実際にショーが盛り上がるかどうかは、あなたの各トリックの演技が面白いかどうかによるのですが、どうであれ上記のセリフで終わってよいと思います。ショーの成功の理由を「よい選択のおかげ」と観客に花を持たせることにより、拍手喝采が期待できます。最後にハイタッチもしてみましょう。
●タイトルは興味深そうなものにします。
「教授の悪夢」「片腕のギャンブラー」とか元々ストーリーのあるトリックは、面白そうなタイトルがついていることが多く、そのまま使えます。お話がついていないマジックでもアンビシャスカードだったら「野心のあるトランプ」、スポンジボールであれば「不思議な赤い玉」などと面白そうなタイトルをつけるとよいでしょう。そのままでも面白そうであれば「残念でした」とか「モアイの謎」とか元の名でも構いません。とにかくメニューには、どれを見るか迷うぐらいの興味を引くタイトルを並べておくのがポイントです。観客が選んでいる時間も会話で楽しめます。
●トリックが選ばれたら言われた順番に演じてもよいのですが、瞬時にどの順番で演じるとウケるかを考えてできるとなおよいでしょう。少なくともどれを最後のトリネタにするかだけでも考えを巡らせてから演じるといいと思います。

<参考>
相手にマジックを選ばせるという演出は以前からありました。ナポレオンズさんはメニューを見せて相手にマジックを選ばせるという演出を行いました。 本棚に入った10冊の本から3冊を選ばせてそのタイトルにちなんだマジックを見せるという演出を行ったドイツのマジシャンもいたそうです。一平さんは、居酒屋風に、お品書きから選ばせるというアイデアをYoutubeで紹介しています。https://www.youtube.com/watch?v=TBiyp50dR6Y

ここでご紹介したジーニーのアイデアは、WIN-WINエフェクト(後注)についてあれこれ思いを巡らしているときに考えついたもので、「マジックを選ばせる」というだけの行為を「相手の希望を叶える」という大仰な言葉に変換できるのが面白いのではないかと思ったものです。単にマジシャンが予定したトリックを次々と見せるだけでなく、観客がマジシャンと一緒にショーを作り上げるという感覚になって楽しんでもらえるのも良いようです。

<追記>
本を使ったドイツのマジシャンの話は、翻訳家の角矢幸繁さんから教わりました。
プロマジシャンの中島弘幸さんからは、花島世津子さんもメニューから選ばせる方法を行なっていたとの情報をもらいました。「初体験」という意味深なタイトルは入門して初めて習ったマジック、「美女の胴切り」はアシスタントになる人を探すべく客席を見回しておいて「今日はできない」と諦める、というような楽しいものだったそうです。

*後注
普通のマジックはだいたい演者と観客が「見せる側VS見せられる側」「当てる側VS当てられる側」などという対立構造になりがちな現象を持っています。マジシャンはパーソナリティやトークやさまざまことをコントロールして不思議をエンタメ化します。
「WIN-WINエフェクト」とは難しい技量にあまりたよらず、マジックの現象自体がすでに、演者・観客どちらにもお得でうれしい状況を起こすことように設計されたエフェクトを意味する造語です。
↓詳しくは下の本に書いています。CMです。

↓参考:その他のWIN-WINエフェクト

上記2つの小冊子は、各マジックショップでも取り扱っていただいていますので、ご贔屓のマジックショップでも探してみてください。

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