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上野でお散歩「京都・南山城の仏像」を見て

上野の東京国立博物館へ、「京都・南山城の仏像」を見に行ってきました。

上野駅を降りると、外国人観光客の方が多く、国立博物館までの道は平日とは思えないほど賑わっていました。
様々な国の言葉が飛び交い、笑い声に溢れ、熱いくらいの活気があります。
世界的なパンデミックが終わり、新しい扉が、新しい世界が、勢いよく開かれたのだなぁと改めて実感しました。

爽やかな秋晴れの中、日差しは強いものの時折吹く風が心地良く、外を歩くのが気持ち良くて。
ゆっくりと道のりを楽しんでいたら、噴水でカラスが水浴びをしていました。 

強い日差しを浴びながら水の中に潜っては羽を大きく拡げてバシャバシャと勢いよく水飛沫を飛ばしています。
気持ち良さそうに楽しそうに何度も何度も繰り返し水を浴びていました。
水に濡れ日差しに反射したカラスの羽の色は宝石のように漆黒にキラキラと光り、生きる喜びが溢れでているようでした。
見ている私も楽しい気持ちになりました。

いつまでもカラスを見ていたくなりましたが、今日の目的地東京国立博物館へ向かいます。
東京国立博物館へ入るといつも大きなユリノキが出迎えてくれます。

私はこの大きなユリノキが大好きです。
広く大きく自由に四方八方へと枝を伸ばし、大きな葉をいっぱいに豊かにつけています。
最初は外国から来た30粒の種子から育った1本の苗木だったそうです。その苗木が日本という異国の地でしっかりとどっしりと深く根を張り、グングンと軽やかに上へも横へも大きくなり東京国立博物館を見守ってくれているのです。

木は自分で住む場所を選べないかもしれないけれども、このユリノキは植えられた場所で広々と自由自在に自分の心地良い形に枝を伸ばし、葉を広げ、花を咲かせています。
しっかりとその場に根を張り、軽やかに自由に心地よく生きることをユリノキが教えてくれているようで、いつもありがたいなぁと思うです。

ユリノキにご挨拶をして「京都・南山城の仏像」展へ。

展示されている仏像はそんなに多くはなくこじんまりとした展覧会でしたが、平安時代の穏やかな柔らかい御顔立ちの仏像には当時の方たちの「穏やかな世でありますように」という祈りが込められているようで、今の世もどうか穏やかでありますようにと深く祈らずにはいられませんでした。

最後に展示されている千本の手を持つ「千手観音菩薩」は圧倒的な存在感でした。
千本の手一つ一つに命が込もっているようで。
一つ一つの手が全ての人の幸せを、命の輝きを願い、暖かく「どうぞ」と手を差し伸べてくれていて。
その差し伸べられた暖かな手を感じると、そばにいていつも見守り励ましてくれるような安心感が心の中にゆっくりと拡がっていき身体全体が包まれたようになり、自然に涙が溢れてきました。 

「千手観音菩薩」の暖かな大きなエネルギーに包まれながら本館を出ると、大好きなユリノキがまた見守っていてくれました。
風がフワッと吹いて、ユリノキがサワサワと静かに揺れて微笑んでいるようでした。
ユリノキに「今日は来て良かったわね」と言ってもらえた気がして、嬉しくなりました。




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