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英文契約対応のオススメ書籍

[20230816更新:国際契約の英文法、国際交渉の法律英語を追加]

英文契約を読んで理解したり、ドラフトをしたり、というのは日本語の契約対応スキルに加えて少し異なるスキルが必要です。英語の基礎力は当然ですが、日本語の契約における表現が普段話す日本語とは異なるように、英文契約独特の表現を理解し、使いこなせるようになる必要があります。

ただ忙しいビジネスパーソンとしては、英文契約のことだけをインプットし、業務で集中的に取り組んで力を付けて、英語の契約表現を頭に叩き込んで・・・というわけにはなかなかいきません。限られた時間・リソースの中で英文契約の対応力を向上させていくためには、頼りになる書籍を携えておく、というのは一つのソリューションになると思います。

英文契約に関する書籍は多く出ており、当たり外れ・個人の好み等もあると思いますが、この記事では私がよく参照している書籍を紹介したいと思います。(他にもみなさまのオススメがあれば是非教えてください!)


契約ドラフト

英文契約書作成のキーポイント

英文契約書の対応をするとなったらまずはこの一冊、と言えるものかと思います。基本的な事項が網羅されているのでこの一冊を買って一度通読して、以降は半ば辞書的に、という使い方ができます。

英文契約を読むにあたって独特な英語表現やラテン語表現を理解するにあたって有用です。もちろんその後に数字や日付、期間の書き方に悩むときなど、ドラフトの場面でも有用です。とりあえず一冊という人はこれをお勧めしたいです。


国際契約の英文法

こちらは主語の置き方、助動詞の使い方、副詞の使い方、仮定法の書き方といった基本的事項を数多くの例文(良い例も悪い例もどちらも)と共に理解ができる書籍です。通読もしやすく、初級~中級者に自信を持ってオススメできる一冊です。

この本を読むことで、英文契約対応に対して自分の中に一本の芯を通せるような感覚もあります。


国際交渉の法律英語

契約書ドラフトでWord Choiceに迷った場合に参照できる書籍です。契約書だけでなく、日常のビジネス英語やタイトル通り交渉場面での英語表現に迷った時にも参照できる書籍なので、マルチに長く活躍する一冊です。Kindle版もあります。


頻出25パターンで英文契約書の修正スキルが身につく

こちらはドラフトに焦点を当てている書籍です。構成が、Damages・Indemnification・Warrantyといった条項別ではなく、「上限をつける」「みなし条文」「費用の負担者を明示」といった、少し一般化した形になっているのが、汎用的に使えて助かるポイントです。

またこういった書籍には珍しく修正契約(Amendment Agreement、いわゆる変更契約)の解説もあり、その点も他の書籍にはない特徴だと思います。


国際契約の“起案学”―法律英語の地球標準

こちらは少しアカデミックな性格が強いですが、「コロンとセミコロンの違いってなんだっけ」「この条項だとandとorのどっちが正しいかな」「このlegalese(法律英語特有の表現)をPlain English(平易な英語)に言い換えるにはどの言葉が適切なんだろう」といったより細かい論点に応えてくれる書籍です。(いわゆる痒い所に手が届くイメージです)

もちろん明確な正解がない性質のものもありますが「迷ったときにこの本に従う」ということにしておくことで変に悩む時間を削減できますし、その意味では主に精神安定剤としても有効な気がしています。


契約の内容理解

ニューヨーク州弁護士が教える 英文契約書の基礎

この本は既に入手が少し難しくなっているのですが、契約書の構成に基づいて基本的な法理の理解をしていくにあたってオススメ書籍です。コンパクトにまとまっていて比較的通読がしやすいので、これを一回読んでおくと内容理解がスムーズになるかと思います。

Amazonのレビューにあるご指摘については、書籍に記載誤りに関する正誤表がありましたので、そちらと併せてご確認頂ければよいかと思います。


体系アメリカ契約法

損害賠償の細かい内容、Warrantyにおける明示の保証の分類など、少し細かい論点で悩んだときに頼りになります。(なお当然ですが、英文契約だからと言って準拠法が米国州法でないケースも多くあるものの、ベースとなる米国契約法を理解しておくことは間違いなく理解の助けになると思います。)

この書籍自体はかなり読みごたえがありますので、実務で気になったところだけ読むという使い方もできると思います。

その前に1段階踏んでから、という場合は樋口先生の以下書籍が良いと思います。


書籍紹介は以上です。

冒頭でも申し上げましたが、英文契約関連の書籍は多く出されていますので、私が良いものにまだ出会えていない、ということも大いに考えられます。当たり外れ・個人の好みなどもあると思いますが、みなさまのオススメもありましたら是非教えて頂けると嬉しいです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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