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ルールデザイン / ルールメイキング関連のオススメ書籍(What編)

私は企業の法務部で働いていますが、契約に限らず、部内ルール・社内規程・グループ会社ガバナンスも含めて、「ルール」について考える機会が増えてきました。「どんなルールを作るべきか」を考える中で、その延長線上のような感覚で社外に目を向けて、どうやって社会のルールメイキングに関与するかについても興味が湧き、書籍やPMIルールメイキングスクールを通じて勉強しています。

ここではどんなルールを作るかという「What」と、ルール作りそのものをどう進めるか・どう関与していくかの「How」に分け、今回はその「What」に関連して面白いと感じた本を紹介したいと思います。


ルールデザイン / ルールメイキングのWhat

「実現したいことのためにどんなルール設計が効果的か」といったルールの中身を考えるにあたって、参考になるオススメ書籍を紹介します。

数理モデル思考で紐解く RULE DESIGN -組織と人の行動を科学する

導入として一番のオススメがこちらです。契約も部内ルールも社内規程も広義の”ルール”に含まれますが、それらを機能させるためにルール策定段階で何を検討すべき/何に留意すべきかというフレームワークを得られる本です。


人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険

ルールをより効果的なものにするために必要な科学的事実が紹介されています。例えば厳罰化は違反抑制に効果なし、厳しすぎる規制は遵法意識を弱める、インセンティブは規範意識を歪める副作用がある、といったものがあります。

次に挙げる書籍の著者でもあるレッシグ教授も推薦している書籍であり、またビジネス法務2024年2月号の「ビジネス感覚を養うための法律・経営書レビュー」でも紹介されています。


CODE VERSION 2.0

ローレンス・レッシグ教授の名著です。人の行動を制約する手法を (1)法、(2)規範、(3)市場、(4)アーキテクチャの4つに整理し、それぞれが持つ特徴を紐解いて理解できます。発刊当時は(4)アーキテクチャを提示している点が革新的だったのかもしれませんが、今となっては考慮必須の要素になっています。読み応えがある本ですが、今の時代のルールを考えるにあたっては必読の一冊と言えると思います。


実践行動経済学 完全版

アーキテクチャを理解したうえで、そのアーキテクチャをどうデザインするべきか、といったことをより深堀することができる書籍です。ナッジや選択アーキテクチャといった考え方を通じて、ルールデザインについての理解を深められます。こちらも読みごたえ抜群です。


アーキテクチャと法

レッシグ教授のアーキテクチャ、セイラー教授やサンスティーン教授のナッジ・選択アーキテクチャについて、様々な角度で(批判的視点も含めて)考察されています。法律家・法学者だけでは規制のアーキテクトはできず、その道の専門家が必要と説く部分は非常に納得感がありました。


法のデザイン

レッシグ教授のアーキテクチャを前提に、法とデザイン思考を掛け合わせていくことについて分かり易く教えてくれます。多くの人に読んでもらいたいと思える本。特にアートに関わる人たちには是非オススメしたいものです。



その他 (最先端技術に関わるルールについて)

汎用性はそれほど高くありませんが、非常に楽しく読ませてもらった書籍をいくつか紹介します。立法に関わるようなレベルでは、ルールの中身を考えるその道のプロが必要なのだと、改めて思わされます。


以上です。他にオススメの書籍がありましたら是非教えてください!

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