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竹中平蔵という巨悪

年の瀬なので色々と動画をみてすごしていますが、この動画が目にとまったので見ておりました。
https://www.youtube.com/watch?v=ARNp7zMY46M&t=792

私はひろゆき氏も主張に一貫性がなく好きではないですが、それを上回る竹中平蔵の(おそらく計算したうえでの)話のすり替えっぷり、純粋な経済学者を装った巨悪っぷりに驚いたので、自分用としてここに記載します。

まず、竹中氏の主張のまとめ。(※()はひろゆき氏か成田氏)
太字は、各論点に対する私の素朴な疑問。

●(経済学の効率性追求と国民の幸せは一致しないと思うが?)国民の幸せの定義は様々であり、ある程度の経済的な豊かさを確保することしか政府はできない。経済全体をよくする、あるいは経済全員(謎ワード)をよくするという方法。国民の幸せは違う議論。
●日本においては正規雇用が強く守られているのが問題。非正規雇用と正規雇用というのは働き方の選び方。いろいろな形の働き方が認められるべきであり、そこに差があるのが問題。安倍政権時に同一労働同賃金を達成したかったができなかった。←正規雇用のほうが安定していて幸せでは?非正規雇用の不安定さを働き方の自由という詭弁で正当化できるのか?
●(非正規のデメリットの対策をしていないと思うが?)小泉内閣のときは金融危機対策が最重要。日本ではしっかりとした貧困調査が行われていないことに問題意識。相対的貧困率という概念は、所得等で影響をうけるので、あまり意味がない。原因が何か?を研究することが必要。①低賃金、②仕事がない、③病気で仕事ができない。この研究を厚労省が行っていないことが問題である。←論点は非正規雇用のセーフティネットが不十分であるということ。貧困率の調査の話ですり替えている。
●日本は新自由主義国家ではない。岸田政権も新自由主義の打倒や所得倍増をキャッチフレーズにしていたが、代表演説でも言及していなかった。どんどん言っていることを変えている。←緊縮財政・新自由主義の財務省や竹中氏に丸め込まれて岸田総理が言論を弱めていることを知った上での発言という印象。岸田総理が新自由主義打倒を撤回しているという印象を視聴者に与えたいのか。
●(自民党政権では分配は十分に行われていないのでは?)分配とは何かということを考えることが必要。安倍政権は分配政策しっかりしている。地方交付税20数兆円。中小企業への補助金や減税。自民党の票になるようなところに分配していた。しかし、フリーランス等への支援は不十分。個人に直接給付されるBI(ベーシックインカム)(※マイナンバー制度との紐づけ)が望ましいだろう。←安倍政権時に地方交付税や中小企業の補助金増えているデータあるのか?しかも地方交付税は元々存在する再分配機能なので、倍増しているならまだしも特筆するにもあたらない(ちゃんとインフラとか作っているなら別ですが。)
●(そういった分配をするためにはどこかからお金をはがして、ひもじい思いをする人を作って分配するしかないが可能なのか?)国民を説得して痛みを伴う改革ができるようなリーダーじゃないといけない。加えて、無駄なお金もたくさんある。経団連のリーダーに賃金払っている。10万円の給付についても多くの人々は必要なかった。これを変えないといけないが、政治は中小企業。中小企業の補助金をカットすれば大反対にあう。←貨幣論の間違い。ひろゆき氏も含め、主流派経済学の貨幣プール論にとらわれており、緊縮財政・新自由主義的発想。国民に痛みをもたらす必要はなく、みんなに配ったらいい。誰が使っても消費はGDPになり経済成長につながる。
●(でも人間必要以上でもお金はほしいものでしょ。竹中さんもパソナの収入もらっている身分で経団連会長の批判をするべきではないのでは。)経団連の会長を批判するわけではない。制度を変えるべきといっているだけ。サッチャーが「金持ちを貧乏人にしても、貧乏人は金持ちになれない」といった。頑張った人が報われる社会であるべき。←寄付税制になぜそんなにこだわるのかよくわからない。理由わかる人いたら教えて。サッチャーの理屈も格差が拡大するこの世の中には当てはまらない。金持ちを貧乏に、貧乏人を金持ちにしないと民主主義は成り立たない。
●自分は本職は大学教授であり、パソナの株をほんの少しもっているだけ。お金持ちという指摘はあたらない(動画後半は竹中氏がお金持ちかどうかという議論に終始。)←これはひろゆき氏の追及が正しいと思った。パソナという人材派遣会社から役員報酬を受けている身分である以上、報酬の多寡は関係なく、利害関係者であることは間違いなく、自らの報酬を増やすべく、非正規雇用解禁などで利益を得る側である事実は否定できない。竹中氏がお金持ちかどうかはどうでもいいが、パソナ会長である事実はもっと大衆に意識されるべき。学者の皮をかぶったバリバリのレントシーカー(民間企業などが政府や官僚組織へ働きかけを行い、法制度や政治政策の変更を行うことで、自らに都合よく規制を設定したり、または都合よく規制の緩和をさせるなどして、超過利潤(レント)を得るための活動を行う人 by Wiki)
●(成田氏:痛みを伴っても改革するべき分野はどこか?法人税減税?キャピタルゲインの課税?)その前に言っておきたいが、変えないといけない分野はたくさんある。国民からみてわかりやすいアジェンダが一丁目一番地であるべき。これが戦略的アジェンダ。なぜ小泉元総理に郵政民営化をするのかと聞けば、一番大きい政府系機関であるから、ということが答えが返ってきた。他への波及効果を意識してのこと。逆にひろゆきさんと成田さんはどのアジェンダが戦略的アジェンダだと思う?(ひろゆき氏:BIと機械化、成田氏:資産への課税。経済成長率が回復したといっても労働分配は達成されておらず、労働家と資本家は隔てられたまま。資産にどう課税するか?が重要な議論)うん、意外にも、僕はひろゆきさんのいうことに賛成で、成田さんのいうことには反対。私の戦略的アジェンダは、①ベーシックインカム、②寄付税制の自由化、③5G等への投資。資本への課税はピケティの議論だと思うが、日本の資産課税は十分に重い。日本に桁違いの金持ちがいないのはそのためであり、他国と比べても日本国内の格差はそれほどひどくない。←成田氏がキャピタルゲイン課税に踏み込んだ途端の話のそらし方半端ない。誰も聞いてない戦略的アジェンダへの考え方をさらして頂いた挙句に、謎の逆質問。いや、お前が先に答えろや。日本の資産課税が高いというのも疑問(https://zuuonline.com/archives/193204)。成田氏の労働家と資本家の隔たり(つまり実体経済の金融経済の乖離)の主張は全く持って正しいと思う。
●政府は、大きなお金を動かすことはできるが、小さなことはできない。個別の補助は苦手である。最後に面倒をみるベーシックインカムのほうが望ましい。←緊縮財政派のせいで公務員が減らされまくって、細かい業務ができなくっているんです。公務員が潤沢にいれば、誰も電通やパソナに中抜きさせたくありません。
●(ベーシックインカムも議論されても実行されていないのでは。日本の少子化政策がまさにそう)少子化政策は政府も何をしていいかわかっていないのが現状だが、BIは財源の確保の問題はあれども政治の意思でできるはず。少子化政策についていえば、子供を持ちたいかどうかは個人の自由であり、政府が介入するべきではない。今政府がやっているのは、生みたい人に産んでもらうこと。また、日本の伝統的な家族観の問題もある。←日本で少子化進んでいるのは、若者の貧困化が進んでいるからです。伝統的な家族観について言及していただくのも結構ですが、まずは積極財政による国民所得の底上げが必要。
●(成田氏:BIという言葉は耳慣れないが、生活保護を全体に配るということではないか?)厚労省も今の生活保護を充実させることを提案しているが、ビッグデータ等活用するにしても時間がかかりすぎる。BIは負の食税というべき概念であり、(窓口で主観的な判断がありうる)生活保護よりも透明性が高い。そもそも地方交付税交付金の算定式など複雑なルールは望ましくない。←これも成田氏の主張正しくないか?そんなに国民の貧困が心配なら、生活保護の拡大・制度の見直しで対応できないのだろうか。というか、BIを導入するほうが生活保護の制度見直しより絶対時間かかると思うけど。BIを主張するほどに、社会保障をぶっこわす目論見が隠れている気がしてならない。
●BIについても単純に年金や保険をなくしたらいいというわけではない。基本的には定額給付のなかで医療費等も支出してもらうということだと思うが、もちろん例外もある。(一部からは社会保障をぶっこわすためにBIを主張しているという言説があるが)細かい制度論から議論しても進まない。まずは大きな原則を決めないと物事進まない。BIの財源は、基本的には税金だろうが、社会保障と税の一体改革を行うことが必要だろう。←ひろゆき氏が竹中氏をめぐる誤解を解くべく助け舟をせっせと出すも、BI導入と社会保障制度が併存することは最後まで名言せず。あきらかに、社会保障削減が目的であると感じた。
●非正規解禁は、小泉内閣の前から取り組んでいたこと。加えて、製造業の非正規解禁したときも、パソナでは製造業の派遣業やってない。ちゃんと勉強してください!←どの口が言う~~~~~!????!2004年の製造業における派遣社員の解禁が労働規制の緩和につながったのは明らか。パソナが派遣事業で利益を得ているのも明らか。

諸悪の根源と伝えられている竹中平蔵氏がきっちりしゃべっているのを見るのは実は初めてだったのですが、ま~~~~論点をすり替えるのがうまいことうまいこと。しかも、ちゃんと聞いてないとまともなことを言っているように聞こえるのが厄介極まりない。デジタル田園都市構想会議のメンバーとしていまだに政権の中枢に居座り続けるレントシーカー竹中。彼の言説に惑わされていては、日本はよくならないと心に強く刻む今日この頃でした。疲れたので今日はここら辺で。

※竹中氏のコメントは文字おこしではなく要旨なので、こぼれてる論点たくさんあると思うのでご容赦をば。





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