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叫び声 大江健三

Title:叫び声
著者:大江健三郎
出版社:講談社文芸文庫
感想を書いた日: 2023-04-05

# あらすじ
金持ちアメリカ人ダリウス・セルベゾフの下に集まった3人。ネグロの父親と日系移民の母を持つ混血の虎、朝鮮人の父とそれを隠し通そうとした日本人の母を持つ呉鷹男、フランス文学を大学で学ぶ僕。ジャギアを乗り回し、レ・ザミ号(ヨット)の完成を待ち、アフリカの地を目指し冒険にでるはずの青春が徐々に音を立てて崩れ、自分の心の叫び声を聞く青春物語。

# 感想
大作家なのは存じていたが、作品を読むのは本作が初めてです。冒頭から事故に遭遇するシーンが、緻密な文章で表現されており、読んでいるだけで、かなり鮮明に各場面を想像することが出来た。日常では経験することが無い場面も、実に巧みな言葉使いで脳内で小説の世界を再構築できるように表現されている。しかも読んでいてリズム感が心地良く(私はどうしても頭の中で音読してしまう読書法)、この種の生きることに対する不安を深ぼるテーマの小説の読みにくさが無いことに驚く。私の理解する難しくは無い単語の組み合わせで、こんなに表情豊かな文章に組み立てることが出来るんだと感心しました。

しっかりとした言語表現を身に付ければ、chat GPTでもmidjourneyでも思ったアウトプットを引き出せる。そんな事を考えさせられた作品でした。

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