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戦国時代のエンジニアの奮闘記 火天の城

Title:火天の城
著者:山本兼一
出版社:文春文庫
感想を書いた日: 2024-05-24

# あらすじ
信長の夢は、天下一の棟梁父子に託された。天に聳える五重の天主を建てよ!巨大な安土城築城を命じられた岡部又右衛門と以俊は、無理難題を形にするため、前代未聞の大プロジェクトに挑む。信長の野望と大工の意地、情熱、創意工夫一すべてのみこんで完成した未曾有の建造物の真相に迫る松本清張賞受賞作。解説・秋山駿

# 感想
これまた面白い作品だった。先が気になって通勤時間以外にも読み進めてしまいました。
当時の築城概念を覆す安土城をどの様に建てるのか、拘りある職人達の連携、創意工夫で完成まで漕ぎ着ける様子が事細かに表現されており、一緒の時代を生きた感覚になりました。

エンジニアが生業の小生ですが、戦国時代においては自分の生き方に近しい人生って正に又右衛門や以俊だと思いました。こんな城を作った人々に焦点を当てた時代小説があるとは目から鱗です。完成形をイメージして図面を描き強度計算して適切な材料を集め、大勢の作業員を管理し日程を睨みながら巨大構造物の建築に携わる。

しかも途中でお客様から仕様変更のオーダーが次々と入り、受け入れる事が可能か瞬時に判断を迫られる。必要があれば思い切った計画変更を余儀なくされる。

駆け出しのエンジニアは、ベテランから強く、きつい言葉で叱咤され、成長した暁には口煩いベテランからも信頼され激励される。あぁ自分の人生とリンクするのでドキドキしながら、わかるわぁと呟きながら読み終えました。

安土城は早々に無くなったと言う薄い理解があり、どの様に消失、焼失するのかも気になり、伊賀の乱波(忍者)たちの妨害話も非常にドキドキして読むことが出来ました。

本当に読みがいがある、繰り返し読み返したい作品でした。

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