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障がい者アートを支援する-1


#09:アート/問題を明確に

半年ほど前から障がい者支援施設でのアート制作に携わっています。私自身、今までこのような経験がないので、戸惑うことばかり。まだ短い時間しかたっていませんがアート制作を通して気がついたこと、支援(指導)方法や今後の展望などを数回に別けて書き残したいと思います。

■障がいの種類
ひとくちに障がいといっても大きく別けて身体的なもの 知的な障害 精神障害と3つのタイプがあります。私が支援している人たちも、このどれかにあてはまっています。
アート制作を支援=具体的には絵画を教えているのですが、障がいの種類や程度によって支援するポイントが異なります。また、人それぞれ性格が異なりますから接し方を変えなくてはいけません。それらを考慮し問題を洗い出した上で課題を設定、進めるのが大変でした。

■現場での問題
彼らに接しともにアートを制作するにつれ、さまざまな問題に気がつきました。

初めに身体的な障害をもつ人です。絵を描くのですからペンや鉛筆、マーカーや筆を使わなくてはいけません。下半身に問題があり車椅子を使用している人でも手が自由ならペンを持てます。逆に手が不自由な人はどうしても細かな描写が難しいのです。

次にある人の場合ですが、私の言葉を理解できない時がありました。さらに、こちらが予想しない行動をとることもあります。ある時「空は青く塗りましょう」と言ったのに赤を塗ったことがありました。ですから、わかりやすい表現でじっくり時間をかけコミュニケーションをとる必要があるのです。

また、最も大変なのは他者とのコミュニケーションを受け入れない人への指導です。彼は積極的に絵を描く時とは逆に絵筆さえ持たないことがあります。好き嫌い、やりたいやりたくないがはっきりしているので、その点を見極めながらアート制作のカリキュラムを組み立てます。

■アートが好きかどうか?
アート制作は施設の方針で行っていますが、障がい者自身がアート制作を好きかどうかわかりません。言われたから、しょうがなしに描いているだけかもしれません。私たちだって子供の頃に「算数は嫌いだけど、体育は大好き」「音楽や美術の授業は退屈でしょうがなかった」ということがあります。楽しく、自由にアートを制作しましょう! と言われても、嫌いな人には苦痛でしかありません。そんな人たちにアートの面白さを伝えるにはどうしたらいいでしょうか。

希望をいえばみんながアート制作を好きになり、楽しく絵を描いてほしい。その結果、作品が経済的な糧になり彼らが自立していくのが理想だと考えています。

このお話、しばらく続けるつもり。次は「得意不得意を見きわめる」をテーマにまとめます。



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