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スイスに来てから1年

(写真はグリンデルワルト近くのバッハアルプゼーにて)

僕は2023の9月24日にスイスに移住してきたので、気づけばスイスに来てから1年が経った。妻と息子は2024年の1月移住なので、家族としては9ヶ月が経った。
せっかくなのでチェックポイントとしての今感じていることをまとめて記事にしてみたいと思う。

していたこと

とにかく生活を安定させることに必死だった。まず最初の2ヶ月はアパート探しに奔走し、見つかったアパートも家具が一切ついていないのでIKEAやFacebookのマーケットプレイスなどを利用して1から揃えていく必要があった。税金や銀行・クレジットカード、保育園の登録方法、保険など日本とは仕組みが違うことが多いので、キャッチアップしていくのにはそれなりに時間を要した。例えばクレカの利用額が自動引き落としされていないことに気づかず、高額な利息を請求されることなどもあった。それに加えて初めての子育てであり、海外にきて少し浮き足立つ気持ちと父親の責任のバランスをうまく取れなかったことで、妻には迷惑をかけてしまった。精神的にも環境的にも生活がようやく安定したと言えるのは、この1ヶ月くらいのことだと思う。

スイス(ジュネーヴ)について

大変なことも多いが、スイスという国に来れたことはとても恵まれているなと思う。自分が思うスイス、そしてジュネーヴについて書きたい。

街と交通機関

ジュネーヴのみならずスイスの街全般について言えることなのだけど、街が綺麗で、公共交通機関もかなり整っていることは大変ありがたい。交通量の多い道路ではバス優先レーンがあり、バスやトラムを使えばラッシュ時でも渋滞の影響は比較的少ないし、特にスイスの鉄道は遅延が少ないことを誇りにしている。この点では日本とのギャップが少ない。それでもエレベーターなどは至る所でしょっちゅう壊れているので、そうした細かい点は日本の方がレベルが高いと思う。

時計で有名なスイスの鉄道時計


交通機関で特に好きな点は、駅には改札口はなく、改札員が来た時にだけチケットを見せればいいところだ。僕は年パスを買っているので、ジュネーヴ市内の交通機関では基本チケットを見せたり買ったりすることなく乗り放題なのでストレスが少ない。(なお、スマホと財布を忘れた時に改札員が来ると高額な罰金を支払うことになる。)

自然に近い

スイス第二の都市でありながら、東京や大阪など日本の都市では考えられないくらいに近くに自然があり、車で中心から10分も走れば田園が広がる風景を目にすることができる。

家から10分歩くとこの景色が見れる

ヨーロッパ最高峰と言われるモンブランの麓、シャモニー(フランス)という街まで車で1時間程度でいけることも魅力の一つだし、ハイキングやスキーをするには最高の環境だと思う。

Chamonixとモンブラン

旅行がしやすい

今年一番楽しんだことは何かといえば、旅行になるだろう。子供が保育園に入っておらず、妻が育休後仕事を始めていない今こそが絶好の旅行の機会と捉え、僕の有給の全てを旅行に費やした。スイスはヨーロッパのど真ん中(主観)にあるので、ヨーロッパのいろんな地域を旅しやすく、イタリアのミラノやフランスのパリ・マルセイユなどには電車一本でアクセスできる。すでにスイス国内のモントルーやルツェルン、チューリッヒなどの各都市やロンドン、イタリア、スウェーデン、フランスなどを訪れていて、同じ大陸でありながら国や都市ごとの雰囲気や文化が全く違うことに毎回驚いている。今年は僕と妻の両親や兄妹が来てくれたので、付き添って一緒に旅行をした。親兄妹とのヨーロッパ旅行をできたのも、こちらに来てよかったことのひとつだ。子どもがいるので制約は多いが、次の旅行が毎度楽しみで仕方がない。

ウィンブルドンの友人宅を訪問した際の一枚

子育てに適した環境

スイスはヨーロッパの中でも比較的治安がよく、安心して子育てができると思う。公園が至る所にあり、子ども用の遊具も日本だと遠くに行かないとないようなものが徒歩圏内にあって嬉しい。バスやトラムの中でも子どもがグズっている時に近くの人にあやすのを手伝ってもらえることが多くて、人の暖かさを感じることも多い。ジュネーヴにはインターナショナルスクールなどもかなり多くあり、(お金さえあれば)質の高い教育の機会も多い。一方で保育園の空き状況や、学校が水曜日に休みになる点など、難しい点も多い。親が共働きでない場合は、公立の保育園に子供を入れることが難しく、また私立となると信じられない額を支払う必要があるため、待機児童状態になってしまっている知り合いも数多くいる。加えて海外での子育ては親族のサポートを得づらいので、親に子どもを預けてどこかに出かける、といったこともほとんどできないのは困難なところだ。

物価

先に出した保育園の例も含めて言わずもがな、物価は高い。一例を出すと、先日ランチでタイ料理を食べた際にパッタイを注文したのだが、支払いを計算すると4300円で愕然とした。日本にいればおそらく1/4程度だし、タイにいれば1/10以下の値段で同じクオリティの料理が食べれるのでアジアが恋しくなる。
一方で今の職場では物価に合わせて高い給料が貰えているので、物価の高さはありがたい点でもある。給与は日本円で日本にいた時の2.5倍程度に上がった。それでもレストランなどは高いので日本にいた頃の方が自由にお金を使えた感覚はある。幸いフランスとの国境から歩いて10分くらいのところに住んでいるので、国境を超えてフランスに買い物に行くなどすることで頑張って節約している。旅行でイタリアなど他の国に行くと物価が安く感じるのも楽しい。10年前に行って物価が強烈に高いと感じたスウェーデンに今年8月に行って安いと感じたのは驚きだった。

家族・友人との距離

個人的にはこれが海外に出たいちばんのデメリットだと言っていい。僕は約28年間日本で生まれ育ったので、日本にいる家族や友人になかなか会えないのは何より寂しい。特に子どもが産まれて1年になった今、目まぐるしく成長する孫を親に会わせられないのはそれなりにもどかしい。それでも今はみてねなどの便利なアプリがあることで、先代の海外移住者に比べれば遥かに繋がりを感じやすい環境にあると思う。自分の祖母はみてねの動画を何度も繰り返し見てはひ孫に会った気分だと言っていると聞いており、テクノロジーには感謝するばかりである。
そして家族や友人もどんどんと歳を重ねていく。まだ心配するような歳ではないが、海外にいればいるほど家族や友人と過ごせる時間は減る。何かを選べば何かを捨てなくてはならない。それを一番ひしひしと感じるのは自分を育ててくれた親との時間のことを考える時だと思う。


長くなってしまったので、一旦ここで筆を置きたい。余裕があれば職場とキャリアについて別の記事で書きたい。



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