妊娠中のインフルエンザワクチン接種について
こんにちは。
この記事を書いているのは11月末で、そろそろインフルエンザに罹患される方が増えそうな時期ですね。
この記事では「妊娠中のインフルエンザワクチンの接種」ついて詳しく解説していきます。
早速、今回のテーマです。
・インフルエンザワクチンを妊娠中に投与しても問題はないか。
・インフルエンザワクチンは1年のうちどの時期に投与するべきか。
・妊娠中にインフルエンザの感染を疑った際の対応策。
それでは早速見ていきましょう。
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インフルエンザワクチンは妊娠中に接種しても問題ないか?
妊娠中や授乳中にインフルエンザワクチンを摂取することはできますか?
外来ではこの様な質問をよく聞かれます。
結論から言いますと、妊娠中のインフルエンザワクチンの接種は可能です。
インフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」であり、理論上ママや赤ちゃんに対しワクチンを摂取することは問題はないとされていますし(1)
また、全ての妊娠期間において、インフルエンザワクチン接種をすることによる妊婦さんや赤ちゃんへの危険性はきわめて低いです。
更に、妊娠期間中はインフルエンザにかかってしまうと、重症しやすい事が分かっています。(妊娠週数が進むとよりその傾向が高くなる事が報告されています)(2)
例えば、妊娠中にインフルエンザに罹患すると重篤な合併症を起こしやすい事が報告されており、
心臓や肺が病気になり入院するリスクは、産後と比較しても1.4倍〜4.7倍と高くなると言われています。(2)
先日上記の様なツイートをしましたが、少し深掘りして解説します。
米国疾病予防局 (CDC)で出されているガイドラインでもこの様に言われています。(3)
・インフルエンザ流行期間中の、妊娠予定の方および妊婦さんへのインフルエンザワクチン予防接種は推奨される。
妊娠中はどの期間においても、インフルエンザワクチンの予防摂取は可能という事を覚えておいてください。
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インフルエンザワクチンの妊娠中の接種時期は10月〜11月が理想
インフルエンザのワクチンを摂取すると、効果が出るまでに約2-3週間はかかります。
また、体の免疫機能がきちんと働くためにはその後3-4ヶ月かかると言われています。
そのため、インフルエンザワクチンの予防接種の時期は10月〜11月が理想と言えます。
もちろん、その時期をすぎても接種されていない方は早めに接種して頂く様にお願いします。
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妊娠中にインフルエンザにかかってしまったら?
2009年にインフルエンザが流行った時期がありました。
その時期のことを後に検証してみると、早めに(48時間以内に)抗インフルエンザ薬を投与した方が、症状出てから遅くに(96時間以上経過して)投与を開始した方よりも重症に至らなかった、という結果が出ました。
(※ 以下に引用文献を記載しています)
そのため「妊婦さんや褥婦さん」がインフルエンザに感染したり疑われた場合には、抗インフルエンザ薬の早期内服(48時間以内)が推奨されています。
インフルエンザにかかったかな、と思われた方やインフルエンザの予防接種をまだされていない方は、かかりつけの先生に相談する様にしてください。
早めのインフルエンザの予防接種が非常に重要です。
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まとめ|妊娠中にインフルエンザワクチンを接種することは可能。
妊娠中にはインフルエンザワクチンを接種することは問題ありません。むしろ早めの予防接種が重要です。
まだ予防接種されていない、という方は早めに受診して頂くようにお願いいたします。
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参考文献
【文献1】
妊娠初期に90人の赤ちゃんに対してタミフル®︎を投与した検討では、タミフル®︎による赤ちゃんへの奇形のリスクはなかった。
» Safety of neuraminidase inhibitors against novel influenza A (H1N1) in pregnant and breastfeeding women:Toshihiro Tanaka, et al,CMAJ July 07, 2009 181 (1-2) 55-58;
【文献2】
タミフル®︎を内服した妊婦(単体児)133名において、妊婦にも新生児にも有害事象がなかった。
» Maternal and Neonatal Outcomes After Antepartum Treatment of Influenza With Antiviral Medications Laura G. Greer, MD et al.
◆ インフルエンザ(H1N1)が2009年に世界的に流行しました。以下がその文献です。
【文献3】
アメリカではインフルエンザの症状出現の後で48時間以内に抗インフルエンザ薬を投与を開始した妊婦さんは、症状出現後96時間以上経過して重症化した時から治療を開始した妊婦さんに比べて、妊婦の重症化および死亡率が少なかった。
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最後まで拝読して頂き有難うございます。
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