医療保険の制度について
こんにちわ。
この記事では休職中や入院中のお金に関わる、「医療保険制度」について解説させて頂きます。
仕事をされている妊婦さんは多くいらっしゃいますし、休職中や入院中にかかる費用に関して分からない事も多いかと思います。
妊娠中に仕事を休んだり入院を必要とした時、お金に関する手続きはどうすれば良いのか、まとめて解説します。
様々な種類の医療保険の制度
日本では "国民皆保険" という制度があります。これは日本国民全員が皆「保険」に加入している、という制度です。
皆さんが加入している医療保険の種類は、年齢や職業、ご家庭によって様々です。
一概に医療保険とはいえ、運営している団体(保険者)も色々あります。例えば国や、市町村、民間などが「保険者」に相当します。
下に医療保険の種類についてまとめてみました。妊婦や褥婦の皆さんはどの保険に加入されているでしょうか。
----
高額療養の制度について
日本では国民全員が保険に入れる様に、国民皆保険の制度を作っています。そのため、どの妊婦さんも基本的に保険に加入されています。
妊婦さんを含め日本の国民保険に加入している私達は、病院で治療や検査を受けると、請求された金額(医療費)の1~3割を負担して支払います。
(ただし、「妊婦健診」や「正常経腟分娩」は自由診療なので自費で全額支払う必要があります。)
私達が一部負担するこの金額のことを「一部負担金」と言います。
支払った1~3割以外の残りのお金は、皆さんが加入している医療保険(上記で説明した色々な種類の医療保険)が負担することになります。
ただし医療費が高額になればなるほど、皆さんが負担する一部負担金も高額になってきます。
例えば、自費ではない保険が効くような病気で医療費が 100万円かかる場合には、 3割負担だと皆さんが負担する金額も30万円と高額になります。
医療費が高額になると経済的な負担が大きくなります。
そこで、日本には「高額療養費制度」という、国民に医療費を負担させすぎない制度があります。
一部負担金が多額になりすぎないように、皆さんが負担する金額の上限が設定されています。
■『高額療養費制度』について。
「高額療養費制度」には健康保険組合や共済組合、船員保険、国民健康保険などの医療保険が設けられています
1カ月間(月初めから月末まで)の医療費のうち、自分で支払わないといけない額がある一定の金額を超えると、医療費の一部を国に負担して貰う事ができます。
これを「払い戻し」と言います。払い戻しを申請することで一定額を超えたお金が私達に戻って来ます。
これは、国民の経済的負担をかけすぎないための制度です。実際に、1ヶ月の自己負担限度額はどの程度になるのでしょうか。
これは税金と一緒で、年齢や所得などによって変わって来ます。
「自己負担上限月額」はいくらで設定されているのか、下記の表で確認してみて下さい。
※ ただし、皆さんが加入している医療保険には、独自に設定している保障があり、その制度を使用することで自己負担限度額がさらに低くなる場合があります。
■ 高額療養費制度のまとめ
長期入院が予想される切迫早産など、今後負担が予想される医療費が高くなりそうな場合には、前もって「限度額適用認定証」の申請をしておくようにしましょう。
※ 『全国健康保険協会 協会けんぽ』のサイト⇦こちらから「限度額適用認定証」のダウンロードが出来ます。
※ 『全国健康保険協会 協会けんぽ』のサイト内の必要書類にも書いてありますが、申請のためには「健康保険証」や「医療費の領収書」が必要となります。領収書は保管しておきましょう。
前もって、この「限度額適応申請書」の申請をしておくことで、病院で支払う際に医療費が高額であったとしても、自己負担限度額のみの支払いで済むことが出来ます。
申請を前もってを済ませていない時には、請求される医療費(保険適応であれば3割)をまずは支払うことになります。
その後で、上記の手順で「高額療養費」の申請をすると数ヶ月後には差額分が戻ってきます。
----
傷病手当金(社会保険に入っている方)の制度について
例えば、担当医から「子宮頸管長が非常に短く、入院して安静にする必要があります。今日から数週間は入院が必要そうです。」と言われたとします。
仕事をされている方は仕事の調整について非常に気になるところだと思います。
さらに、「有給は既に使ってしまい、あと3日程度しか(有給)残ってない。しばらくは入院が必要になりそうだし、有給も使えないし、収入面について不安。お金のことも心配。」とう方もいらっしゃると思います。
こんな時のために、「傷病手当金」という制度があります。
これは勤務先の健康保険や共済組合、船員保険に加入していると支給される手当金です。
例えば私であれば「●●大学医学部付属病院健康保険組合」に加入していますので、そこから支給されます。
上のケースの様に「切迫早産」や「悪阻」の方で長期間休職されるようになった場合には、この「傷病手当金」が支給される事になります
ここで実際に「傷病手当金」を必要とする方もいらっしゃると思うので、確認しておきましょう。
傷病手当金を請求するためには以下の④項目を満たしていなければいけません。
① 勤務している内容に関係のない怪我や病気で仕事を休んでいること。
② 今まで職場で行なっていた内容の仕事ができない場合(これは医者の判断となります)。
③ 少なくとも会社を3日間は連続で休んでいること。
④ 仕事を休んでいる間に職場から給与がないこと。
※ 連続して仕事を休んだ4日目以降に『傷病手当金』は給付されます。はじめに休んだ3日間は『待機日』と言います。『待機日』がなければ、給付金を貰うことができません。
※ また、この待機日の3日間については有給休暇を充てることも可能です。
※ ④は給料が出ていると傷病手当金も重複して貰うことになってしまうので「職場から給与がない事」が条件となります。
■ 注意点
もし仮に職場から給与があったとしても、お給料の額が十分ではなく少ない量しか貰っていなければ、傷病手当金と給料の差額を貰うことができます。
この④項目を満たしている場合には「傷病手当金」が付給されます
例えば、切迫早産で4日以上会社をお休みすることになったとしても、会社を休んだ4日目以降はから傷病手当金を貰うことが出来ます。
更に、傷病手当金は最長で1年半まで付給されます。(切迫早産や悪阻は一年半も続きませんので、切迫早産や悪阻で長期間入院していたとしても期間内は保障はされますね。)
ではどの程度「傷病手当金」がもらえるのかというと、勤務先の給料の2/3という決まりになっています。(月給45万の方だと傷病手当金は30万円給付されます。)
これはもちろん会社勤務の「社会保険」に加入している方の場合であって、自営業で「国民健康保険」に加入している方や、「扶養家族」に入っている方には支給されません。
■ 傷病手当金の制度【まとめ】
傷病手当金についてはある程度理解していただけたでしょうか。
それでは、傷病手当金を請求する際の、手続きの流れについてまとめておきたいと思います。
※ 仮に「切迫早産」で入院になった場合を想定しています。
① 病院/クリニックで「切迫早産」と診断され、「会社を休業して自宅安静が必要」もしくは「入院が必要」と言われる。
② 担当医に診断書を書いてもらい、診断書を勤務先(労務課)に提出する。
③ 『傷病手当金申請書』を入手し、医師が記入する箇所は病院の事務に提出して記載を依頼する。
④ 医師に記載をして貰ったら、会社の労務課もしくは健康保険の受付に提出する。
⑤ 『傷病手当金』が給付される。
大体の流れはつかめましたでしょうか。
医療保険制度の制度と仕組みについて
■ 切迫早産で休んでいる時期が、産休の時期と被ってしまいそうな方へ。
切迫早産で入院しなければならず、会社を休んでいる方で、現在傷病手当金を給付してもらっている方がいらっしゃるとします。ですが、もうすぐ産休の時期と被ってしまいそうな時にはどうなるのでしょうか。
この場合には、切迫早産で休んでいた時に支給される傷病手当金よりも出産手当金が優先されます。
さらに2016年4月より出産手当金が傷病手当金よりも少ない場合には、その差額も支給されるようになりました。
また出産手当金が貰える時期が終わってしまったとしても、傷病手当金を貰える時期の方が長ければ、傷病手当金は続けて貰うこともできます。
ここで出産手当金と出産一時金の違いについてまとめておきます。
■ 出産手当金と出産一時金の違い
出産手当金とは、出産のために会社を休んだ場合、会社から給料をもらえない代わりに支給される手当金のことです。
また、出産手当金は「出産日の42日前」から「出産後56日」まで請求する事が出来ます。
※ (切迫早産の場合を仮定して、出産日が予定日より早まったとして)出産手当金を貰える期間を簡単に上にまとめました。
出産一時金は、妊婦検診や経腟分娩そのものが、もともと自費診療であるので、その負担を軽減するために支給される一時金のことです。(1児を妊娠するにあたり42万円が付給されます)
■ まとめ|医療保険の制度と仕組み
休職中のお金に関することや、例えば切迫早産で入院になった時のお金について、また高額医療費について解説させて頂きました。
妊娠中はどの時期においても、急に仕事を休まないといけなくなったり、入院しないといけなくなったりする場面があり予測がつかないものです。
また負担する医療費の額によっては、皆さんの経済事情にも大きく影響することがあります。
妊娠中万が一の休職や入院に備えて、高額療養費制度や傷病手当金の制度を把握しておきましょう。
この記事がその際の一助になれば幸いです。
----
最後まで拝読して頂き有難うございます。
※ この記事に関してご指摘ご要望などがありましたら、弊ブログの「お問い合わせフォーム」までご意見を頂ければ幸いです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?