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作り置きによる心の変化がUXDに役立ちそうかもという話

ついここ2週間ほどの話だが、作り置きを始めた。
始めると、思ってもいなかった心の変化が起き始めたのでこれは記録しておかなければと思う。

■なぜ作り置きを始めたのか?

今まで、晩ご飯を作るというタスクは、正直とてもめんどくさかった。
毎日同じ時間に同じことをしなければならないからだ。(性格的にこれがつらいのもつらいがw)
そして、毎日帰りの電車で冷蔵庫の中身を思い出して、今日は何にしようかなー、アレにしたいけどアレが足りないから帰りに買って帰らないといけないかーめんどくせー、と常々思っていた。

でも、だからといって作り置きをしようとまでは至らず、日々めんどくせーと思いながらも目の前のタスクをこなしていた。

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直接のきっかけはふたつほどあって、ひとつは昨年NYに行ったとき、1泊だけデトロイトの友達の家に泊めてもらったときのこと。
その友達夫婦は日本人で、旦那さまが5年間の海外駐在となったので、デトロイト郊外の広い家にふたりで住みながら幸せそうな生活をしている。
休みの日は何をしてるの?と聞くと、ゴルフとかーゆっくりしたりとかー、土日のどちらかはふたりで日本食を作り置きしてるよーと。
へーすごいねというと、

だって平日仕事から帰ってから作る気にならないもーん。

この言葉にピーンときた!
わたしもいっしょだ!!これはいい!
(逆になぜそれまでそうしようと思えなかったのかと自分に問いたいぐらいだが…)

たしかに彼女たち夫婦もふたりとも働いているし、外食は量も多いしカロリーも高い。

でもそんな理由より、自分を強く持っている彼女が、「平日仕事から帰ってから作る気にならない」というぐーたらっぷりにとてつもなく親しみを感じたのと、「作っておけば帰ってからラクにおいしいごはんが食べられる」という希望的観測のほうが魅力的だった。

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もうひとつの理由は、別の友達主催のお料理教室に行ったこと。
その友達は野菜ソムリエで、いかに野菜をおいしく食べるか、みたいな活動をしている方だ。
はじめていったそのお料理教室では、お米のとぎ方から出汁の取り方、青菜のゆで方など基本的なところを教えてもらった。
調理実習でそのとき作ったメニューもとてもおいしくて、これを生かして作り置きをしておけば人生もっと楽しくなるんじゃないか!と。

(そう考えるとまわりの友達はみんなすごい人ばかりで感謝)

■作り置きをするときとしないときの時間の変化

わたしは毎日晩ご飯を作っているわけではないが、毎日作っていたとして、時間の変化を考えてみた。

毎日作るときは、なんだかんだで
・ごはん
・みそ汁
・メイン
・副菜(たまに)
と考えるとがんばっても小一時間はかかる。

これが、作り置きのおかずがある日は、ごはんを炊いてかんたんなみそ汁をつくるだけで、かかっても30分、下手をすると15分ですむときもある。
作り置き用のおかずを作る時間だが、ざっと見積もって週2〜3回、1回あたり3〜4品、1〜1.5時間ぐらいが多い。
今は大人ふたりだけなので、これぐらいの時間で1週間分はよゆうで作れる。

これが1週間と考えると、下図のとおりだ。

じゃっかん帳尻をあわせた感はあるが、実質かかっている時間は同じ!!(もちろん多少の前後はある)

■時間の変化による気持ちの変化

実は、かかっている時間が減った減らないについては実はどっちでもよくて、こっちの気持ちの変化のほうが重要だった。

精神的負担の軽減

日々かかる時間が減ることによって、上述のデトロイトの友達が言っていたように、単純に「仕事から帰って作らなくてよい」という精神的負担の軽減が思いのほか功を奏している!

しかも、「自分がついさっき作ったもの」を食べるよりは、「以前作っておいたもの」を食べるほうが、「だれかが作ってくれたものを食べている」感が強く、幸せが倍増する。(これは世の中の主夫・主婦はうなずけるのではないだろうか)

作り置きを作るときの楽しみ

幸い、料理自体はそんなにきらいではないし、食べることも好きだ。
ただ、「毎日やらなければならないこと」のタスクだったからどうしてもよゆうをもって取り組めなかったところがある。
これが、作り置きとなると途端にいろいろなことが楽しくなって、客観的におもしろかった。

なにを考えているかというと、「これを平日夜仕事が終わって疲れて帰ってきてからすぐに食べることができるんだ、うれしい!」ということ。
これ想像してニヤニヤする。

この気持ちの変化をさっきの図に追記すると、一目瞭然だった。

気持ちの持ち方が変わると、いろいろなことがよくなったりしますよね。
自分で書いていても、マジでほんとにこのとおりだなと思った。最近楽しい気がする。

毎日多い品数を少しずつ食べれる

毎日作っていると、メインがドーンと山盛りで、副菜なんてないときもある。
メインもおいしくないわけではないけど、さすがに飽きる。

作り置きをしていると、自然と品数も増やせる。作っておいたものを少しずつ盛ればいいからだ。
栄養価のちがうものを少しずつ摂取すれば、きっと健康にもいいし、全体的な量やカロリーが低くても満足できるというメリットがあるほか、思いのほか食べる楽しみにつながったのにもびっくりした。

■目の前のタスクに追われないことが気持ち的にも重要

いろんな自己啓発のブログに書いてあるようなことで、ふーんわかってるけどなーといつも目を細めていたが、今回この作り置きを通して身を持って実感できた。

やらなければならない目の前のタスクを切羽詰まって「こなす」のか、特に今いましなくてもいいことを「やっておく」かの違い。
これはクリエイティブ系の仕事にとてもとてもあてはまる。

■効率化するべきところ以上の効果が現れたことは、UXDを考えるときにも役立ちそう

本来なら、日々のめんどくさい業務を効率化するためにはじめた作り置きだったが、予想以上に精神的な満足が多かった。
効果についても、自分でもやってみてはじめてわかったことで、効率化以外にもこんなに楽しくなるのは予想外だった。

個人的にはこれこそがUXDだと思っていて、本来の業務効率だけではなく、気持ち的な満足度をあげること、まさに今回のことはそれにあてはまると思っている。
サービスをつくっていくときには、おそらくこの一連の気持ちの変化までをデザインしていかないといけないのだろうと思っている。(思っているだけで、まだできないのだが)

拙著の『Webデザイン・コミュニケーションの教科書』(SBクリエイティブ)にも書いているエプロンの話と同じだ。

エプロンを商品として売っているECサイトのサービスデザインとして、「エプロンを買ってもらう」ことを目的とせず、「エプロンを買って使っていたらいろんなことが楽しくなった」という目的に暗にすり替えるほうが、コンバージョンがあがるのでは、という内容だ。

だからといってHCDが重要なのだ!とまとめるつもりはなく、ひとりの人間としてできることをしたいし、そういう感覚を大事にしたいですということでした。

<補足>

ただ、これがすべての人にあてはまるとは思っていないのでそこだけ注意。
わたしは毎日同じ時間に同じことをするのが苦痛でたまらないのと、(いちおう)クリエイティブ系の仕事をしているのもあり、こういう毎日少しずつ違う過ごし方をするほうが好きだ。

でも毎日同じ時間に同じことをすることのほうが習慣になって安心するし、安定して過ごせる人もいる。
きっとそういう方はヨシ◯イとかも向いていると思う。
※わたしはヨシ◯イ系は向いてないと思う。

また家族が増えると変わってくるだろうし、いち意見として。

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