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【読書感想文】赤と青のガウン - 彬子女王

ここ数日で心に響く本にたくさん出会えていて、感想文渋滞しているのですが、一昨日購入して週末に一気読みしてしまうほどに面白かったこちらの本について、逸る気持ちが抑えきれないためなぐり書きします。

この方、三笠宮寛仁親王殿下のご令嬢の彬子女王殿下なのです。

書店でたまたま見かけ、買うか迷った結果、その日は買わずに帰宅しました。

ところがその日の夜YouTubeをスクロールしていると、なんと彬子女王殿下が本書についてめざまし8の取材を受けられた際のアーカイブがおすすめに出てきたのです。
(行動まで監視されてるのか?と思うほどのターゲティング)

そこで御本人の口から語られた内容を拝見し、購入することを決めました。

あらすじ

彬子女王殿下はオックスフォード大学マートン・カレッジに計5年間留学されていました。

女性皇族で始めて博士号を取られた方で、その英国留学記をまとめられたエッセイです。

日本では側衛が常に付き添っておられますが、EUに2週間以上の滞在の際はお一人とのことで、そこで起こる様々な出来事を笑いあり涙ありで書かれた一冊。

皇族ならではのご苦労や、皇族と気付かれない地でのびのびと暮らすご様子などなど、彬子女王殿下だからこそのご経験と視点で書かれています。

感想

私は皇族の方が本を出版されることがあると知らず、書店で並んだ本書の「女王」という名前と「生まれて初めて一人で街を歩いたのは、日本ではなくオックスフォードだった」という帯を見て「どこの金持ちお嬢の話よww」と思ったのですが(前回に引き続きとても失礼)、著者を2度見てびっくり。

あの彬子様ではないですか!!!

そもそも、恥ずかしながら私は直族家系ではないご子女を「女王」と呼ぶことを知らず、大変に失礼なことを…

では早速感想をば。

まず、とても聡明な方なのだと思いました。

オックスフォード大学で博士号を取られたというご経歴だけでも大変に優秀な方なのだとわかるのですが、文章がとても読みやすいのです。

情景がはっきりと浮かんできますし、女王殿下の気持ちのゆらぎや想いがグサグサと心に突き刺さってくるのです。

しかも、ちゃんとオチがあってクスッと笑える要素がふんだんに盛り込まれています。

マートン・カレッジで一番恐れられているジェシカ教授の元で胃炎になりながら論文を書いた話や、カジュアルな出で立ちで格安航空に乗り、空港で外交旅券を出して怪しまれて通過できなかった話、到着空港がものすごく田舎にあって大ピンチの話などなど…

一番驚いたのは格安航空を利用されるんだ!!ということ。

また、皇室の方々はずっと誰か(側衛)がついてきていて息苦しくないのだろうかと疑問に思っていましたが、彬子女王殿下の場合は周りに誰かがいないと淋しいのだそう。
これも人によるのかもしれませんが、側衛がいない生活のいいところと淋しいところの両面から書かれているのも、彬子女王殿下の聡明さゆえだろうと思います。

そして、公務をお休みして留学するということの重さも終盤になるにつれてのしかかってきます。

最後に博士論文を書き上げ口頭試問をパスするとき、そして留学終了するにあたって宮内庁や寛仁親王殿下との意見の食い違いのときを経て、無事留学が終了するわけですが、クライマックスは涙なしでは読めません。

この留学記、彬子女王殿下だからこそ書けるものだなと思います。

これがただのそのへんのお金持ちのお嬢様が書かれていたら、ここまで話題にはなっていないのではないでしょうか。
皇族でありオックスフォード大学で博士号を取得できる頭脳をお持ちであるという点で、もはや羨ましいという感情は湧かず、かけ離れすぎていてもはや感嘆の声しか漏れません。

なんかもう、、、とにかくすごい。そしてとてもおもしろい。

注:最後に申し上げますが、ただ内容に興味があっただけです。どのような思想も持ち合わせておりません。


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