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Kinky Boots Part 1 - The Most Beautiful Thing in the World

以前、海外で大ヒットした『ウィキッド』の全訳をしました。

Kinky Bootsも観るため、そちらも全訳しようと思います。
日本も3年ぶりに公演されるそうですね。
三浦春馬さんと小池徹平さんが主演ということで
これもめちゃくちゃ楽しみです!似合う!

スクリプトはこちらを使用します。
海外はこういうスクリプトが出回っているのがいいですね。

ACT I
 1. Price and Son Theme
 2. The Most Beautiful Thing In The World
 3. Price and Son Funereal (Reprise)
 4. Take What You've Got
 5. The Land of Lola
 6. The Land of Lola (Reprise)
 7. Step One
 8. The Sex Is In The Heels
 9. The History of Wrong Guys
10. I'm Not My Father's Son
11. Everybody Say Yeah!

ACT II
 1. Price and Son Redux (Reprise)
 2. What A Woman Wants
 3. In This Corner
 4. Charlie's Sad Soliloquy / Soul Of A Man
 5. Everybody Say Yeah (Reprise)
 6. Hold Me In Your Heart
 7. Raise You Up
 8. Just Be

頑張って訳します!!

Prologue

(証明が付く。
 ドンが現れ、慌てて工場のドアを開く
 彼の携帯が鳴っていて、それに応じる)

ドン
 「今時間がないんだ。
  仕事に行かなきゃ。仕事だよ。
  メールも無理だ。電話も。
  携帯に通知を入れないでくれ。
  (オーディエンスに向かって)
  サイレントモードにすればいいって
  今思いついたボッチのアホは誰だい?
  (しかめ面でこちらを向いている)
  確かにそうだな。
  (携帯に意識を向ける)
  いいかい、携帯の電源を切るよ。
  休憩時間に掛けるから!またね!」

(携帯の電源を切り、ポケットに入れる
 工場に入ると、照明が消える)

ACT I 1. Price & Son Theme, 2.The Most Beautiful Thing In the World

(従業員たちが歌っている。
 プライス&ソン工場の
 ネオンサインが灯る)

従業員たち
 ♪ プライス&ソンに任せて
  私たちの仕事は確実
  実績のある実用性
  頑丈で丈夫だよ

  散歩に仕事に運動
  何をするにもぴったりさ
  あなたへ堅実なシューズを
  プライス&ソンの靴

(プライス氏が登場する
 サッカーボールが転がってくる。
 プライス氏は息子のチャーリーへ
 ボールを蹴り返す。
 チャーリーは父のプライスに追いつく
 プライスはチャーリーに話しかける)

プライス
 ♪ 春やツバメが浮かぶかい?
   それとも朝霧を差す太陽かな?
   ここを進めば見えてくるはず
   エレガントで心地よいものが

「この世でもっとも美しいものがなにか、
 分かるかね、チャーリー?」

チャーリー
「それは靴さ!」

プライス
「そう靴だ!」

(工場の中が見える。
 従業員たちが仕事をしている)

プライス
 ♪ 世界一美しいもの
  この世で一番美しい
  チャーリー
  私は知っているのさ

プライス
 「歌おう、チャーリー」

プライス&チャーリー
 ♪ 世界一美しいもの
  この世で一番美しい

プライス
 「チャーリー、とても美しいだろ」

(トリシュがチャーリーにビスケットをあげる。
 男の子が従業員を手伝おうと
 ベルトコンベアに駆けつける)

プライス
 ♪ 長年をかけて
  ここまで来たんだよ
  私の次はお前がなるんだ
  手作りだからこそ
  価値があるんだ
  お前も語るようになるだろう

チャーリー
 「靴屋の男のね!」

プライス&従業員
 ♪ 世界一美しいもの
  この世で一番美しい
  チャーリー
  私達は知っているんだ
  世界一美しいもの
  この世で一番のものさ
  チャーリー
  美しいでしょう?とても美しい

(チャーリーは不安げな顔で話しかける)

チャーリー
 「もし僕が靴を作りたくなかったら?」

プライス
 「そうだね、お前は面白い子だ。」

(突然、工場のベルが鳴る)

(場面が変わり、クラクトンの路上のベンチ
 子供のローラがベンチに座っている
 赤いハイヒールを履こうとしている
 
 ローラは誇らしげに立ち上がる
 
 彼はぎこちなく歩き始める
 一歩ずつ歩き、スキップし
 赤いハイヒールを履いて踊り始める
 音楽が鳴る)

従業員たち
 ♪ おお
  世界一美しいもの
  この世で一番美しい
  私たちは知っている
  この世で一番美しいもの
  世界一美しい
  チャーリー
  美しいでしょ。とても美しい

ローラ
 ♪ まるでワイヤーの上で踊っているよう
  海から果敢に飛び立つよう
  火花を散らして打ちあがるロケット
  まるで魔法が一生解けないかのように

(おじのサイモンが登場し
 ローラに怒鳴り散らす)

サイモン
 「そいつを脱いで
  家に入りなさい!
  バカ息子!」

(チャーリーはローラがハイヒールを脱ぎ
 恥ずかしそうにサイモンにしょんぼり
 ついていくのを見ている)

(場面はロンドンの靴屋に変わる
 アラームが鳴り、靴屋が出てくる
 赤いハイヒールをショーウィンドウに飾っている
 二コラはそれを恍惚な様子で見ている)

二コラ
 「チャーリー、この靴のことよ!
  こっちに来て見てよ!」

(チャーリーが階段を駆け下りてくる。
 大人になったチャーリーは
 彼の婚約者の二コラの隣に行く)

二コラ
 「これこそまさしく必要なものじゃない?
  私の指に結婚指輪を通したいなら、
  まずはこれを私の脚に通してちょうだい。」

チャーリー
 「ノーサンプトンの生活には派手過ぎないかい?」
 ※ノーサンプトン=ロンドンの北区

二コラ
 「ならロンドンに引越すのは最適ね。
  色褪せたレザーと臭い牧場と
  お別れするには持って来いだと思わない?
  小さな工場地帯で生まれたけど、
  そこに一生いる必要はないわ。」

チャーリー
 「値段を見たかい?家賃3カ月分だ。」

二コラ
 「買うか買わないかはあなた次第だけど、
  この靴は私の夢だわ。」

二コラ
 ♪ 新たな旅立ちに
  この晴れやかな日に
  私たちは引越すのよ
  お別れをするの
  小さな街が見えなくなるまで
  私たちが置いて行ったもの
  それきっと、、この靴!

(チャーリーは父の元で働いている)

二コラ&プライス&従業員たち
 ♪ 世界一美しいもの
  この世で一番美しい
  チャーリー
  私たちは知っている そうよ
  この世で一番美しいもの
  世界で最も美しい
  チャーリー
  とても美しい
  そうでしょ

(チャーリーはプライスのもとに戻る
 少し議論を交わす)

プライス
 「お前の人生は、この工場にあるんだ。
  お前はここにいるべき人間だ。」

チャーリー
 「違う。僕はロンドンで二コラと過ごすんだ。」

プライス
 「いいや、ここにいるんだ。」
 
(チャーリーはシャンパンを父に渡す)

チャーリー
 「僕の旅を祝杯してくれるかい?」

プライス
 「ああ、ロンドンでの職探しのために
  家族の元を離れることへね。」

チャーリー
 「マーケティングだよ。
  リチャードベイリーが二コラと僕に
  不動産のマーケティングを任せてくれるんだ。」

プライス
 「ひどく寂しいよ、チャーリー。」

チャーリー
 「父さんに」

(プライスはグラスを掲げ、
 集まってくれた従業員たちに
 振り向く)

プライス
 「靴は人の旅を守る。
  だが道を選ぶのはその人自身だ。
  家はいつだってあることを忘れるなよ。」

みんな
 「チャーリーに!」

従業員たち
 ♪ この世で一番美しいもの
  世界で一番美しい

みんな
 「チャーリーに!」

(チャーリーは舞台の真ん中で啞然としている
 従業員たちは仕事をし始める
 ローラは赤い靴を胸に抱えている
 二コラはお店の靴を眺めている
 プライスは誇らしげに工場の前に立っている)

プライス
 ♪ 私たちの歴史を象徴する

二コラ
 ♪ 私をなりたい私にしてくれる

ローラ
 ♪ まるで踊っているようにしてくれる

プライス
 ♪ 私たち家族の刻んだAローラ
 ♪ どこにも行かないで
  私のものだから

チャーリー
 「ただの靴だって分かっているだろ?」

全員
 ♪ この世で一番美しいもの
  世界で一番美しい
  チャーリー、美しいだろ?(繰り返し)

ACT I, Scene 3: Price & Son Theme (Funeral)

(場面はロンドンのアパートに変わる
 チャーリーと二コラがベッドで
 たわむれている)

二コラ
 「ああ!ここ狭くて汚いしひどいわ。
  全部とっかえが必要ね。
  一つだけ除いて、、」

チャーリー
 「僕かい?」

二コラ
 「場所よ!!
  チャーリー、私たちロンドンにいるの!
  ロンドンロンドン!」

チャーリー
 「僕らがどこにいるって?」

二コラ
 「ロンドン!」

(二人はキスする)

チャーリー
 「幸せかい?」

二コラ
 「絶好調よ!違うの?」

チャーリー
 「君がそうなら僕もそうだよ」

二コラ
 「それが精いっぱい?」

チャーリー
 「愛しているよ」

(二コラは寂しげにチャーリーを見つめる)

二コラ
 「いつでもお父さんのもとに帰っていいのよ」

チャーリー
 「靴を作りに?
  それはしたくないんだ」

二コラ
 「あなたは何がしたいの?」

(チャーリーの携帯が鳴り、それを取る)

チャーリー
 「はい、、そうです。彼の息子です。
  、、いつですか?
  どうやって、、?」

(プライスの工場にシーンが変わる。
 従業員たちの間をチャーリーが力なく歩く。
 階段を上り、父のオフィスに入る
 工場長のジョージとチャーリーは
 父の作り上げた功績を眺めている)

女性従業員
 ♪ プライス&ソンに任せて
  私たちの仕事は確実
  実績のある実用性
  頑丈で丈夫です

  散歩に仕事に運動
  何をするにもぴったり
  あなたへ堅実なシューズを
  プライス&ソンの靴

ジョージ
 「君のお父さんはきっと誇らしく思ったでしょう、
  ここに君が立っているのを見たらね、
  ミスタープライス」

チャーリー
 「ジョージ、あなたは僕の事を
  生まれた時から知っているでしょう。
  チャーリーと呼んでください。」

ジョージ
 「プライス&ソン社は、
  ミスタープライスが受け継ぐんですよ。」

チャーリー
 「ここに入らせてくれて光栄です。
  知っての通り、父はずっと思っていた。
  僕が工場を引き継ぐと。
  一度もそう言ったことはなかったけれど。」

 (従業員にジョージが呼ばれる)
ジョージ
 「失礼します。もし出来れば、、
  彼らはいつも下で待っているんですよ。」

 (ジョージがその場から去ろうとする)

ジョージ 
 「もう一ついいですか?
  プライス&ソン社の新しいリーダーから
  みんな指示を受けたいと思っていますよ」 

チャーリー
 「それは必要ではないのでは?」

ジョージ
 「言ってみただけですよ。」

 (ジョージはチャーリーに目配せをして、
  従業員のもとへ戻る)

チャーリー
 「そうだな、、」

 (大きくて屈強な従業員のドンが
  ポールとローレンとつるんでいる)

ドン
 「みんな静かに!
  チャーリーが話すぞ」

チャーリー
 「みんな、こんにちは。
  花をありがとう。
  手紙や、いろいろ、、」

 (チャーリーは言葉を失う)

 (ジョージがつつく)

ジョージ
 「今後について何か言ってください。」

 (チャーリーはひらめく)

チャーリー
 「ああ、そうだな。
  靴を作り続けよう。
  素晴らしい靴をだ。」

 (みんなじっとしている)

 「そして、、頑張ろう。」

ローレン
 「おお、小僧が良いこと言ったな。」

 (ローレンとドンが笑う
  ジョージは従業員をあおぐ
  オフィスマネージャーのパットが
  チャーリーを下から呼ぶ)

パット
 「ミスタープライス、こちらへ。
  チャンバースがオーダーした靴を
  すべて返品してきたんです。」

ジョージー
 「どうぞお先に、ミスタープライス」

 (チャーリーは階段を駆け下り
  配達員が積みあがった靴箱と共に
  待っていた)

配達員
 「どなたかサインをしてくれますか?
  残りの靴をトラックから取ってきます。」

チャーリー
 「何か問題があったのですか?」

配達員
 「受取人に聞いてください。
  このコピーにサインを。」

 (チャーリーはサインをする)

チャーリー
 「パット、在庫部屋にこれらを運んでくれ」

パット
 「チャンバースがオーダーした冬の靴が
  すでにそこに入っているんです。」

チャーリー
 「ここはどうだい?」

パット
 「チャンバースの春のオーダーが。」

チャンバー
 「いま製造しているのは、、?」

パット
 「チャンバースの夏物です。
  デカいんですよこれが。」

チャーリー
 「一年中売れない靴を作っているのか?」

パット
 「ちょっと前からそうなんです。
  チャンバースはオーダーを減らしています。
  生産量が減る分、従業時間も無駄になります。
  あなたのお父さんはそれを知らなかったんです。」

ジョージ
 「彼は君に伝えていたと思っていたよ。
  でも君は大学で彼女に夢中だったからね。」

チャーリー
 「でもこの靴達をどうするっていうんだい?」

ジョージ
 「あなたのお父さんは一度か二度、
  超過した在庫をディスカウントストアに
  売り払っていました。」

チャーリー
 「つまり前から起きていたんだね。」

パット
 「ここまで酷いのは初めてです。」

ジョージ
 「ここ最近は、お父さんは
  あまり心配していなかったようだ。
  プランがあると言っていたよ。」

チャーリー
 「プラン?どんなプランだい?」

 (ジョージは駆け去る)